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冷凍能力と冷凍効果・理論断熱圧縮動力(P17~P18)

 冷凍能力と冷凍効果(テキストは、<8次:P17 ~18(2.2.2 冷凍効果と冷凍装置の冷凍能力 )>)

p-h線図と冷凍サイクル(冷凍効果の説明用)


 冷凍能力と冷凍効果の違い、比体積と冷凍能力の関係、それから圧縮機との関係、皆つながっている。把握しておこう。

 計算式は無理に覚えなくても良い。が、意味を理解すれば最高!

  • 冷凍効果 Wr = (h1 - h4) [kJ/kg]
     (冷媒 1kg 当たりが周囲から奪うの熱量)
  • 冷凍能力 Φo = qmr(h1 - h4) [kJ/s]
     (qmr:冷媒循環量[kg/s] × Wr:冷凍効果[kJ/kg])
  • 冷凍能力の記号は、Φo(ファイ・ォー)です。これからも、さんざん使います。

・冷凍装置内を液や蒸気などの状態変化を繰り返しながら、単位時間当たりに循環する冷媒量を冷媒循環量という。 H27/01 答え

【◯】 この問題はココにおいて置く。テキスト<8次:P17の真中辺り>にわりとズバリ。
 <8次:P17真ん中あたり>より引用  1 秒間あたりの質量流量 qmr (kg/s)で表す。 ←重要

冷凍効果と冷凍能力(P17)

 『初級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<8次:P17 (2.2.2 冷凍効果と冷凍装置の冷凍能力 )>です。


冷凍効果

・冷凍サイクルの蒸発器で冷媒から奪う熱量のことを、冷凍効果という。 H22/02

・冷凍サイクルの蒸発器で周囲が冷媒から奪う熱量のことを、冷凍効果という。 R01/02 答え

【両方 ×】 微妙に思いっきり、嫌らしい問題だ。『初級 冷凍受験テキスト』<8次:P17>見て。両方のの問題を正しい文章にしてみましょう。

  冷凍サイクルの蒸発器で冷媒周囲から奪う熱量のことを、冷凍効果という。H22/02
  冷凍サイクルの蒸発器で周囲から冷媒奪う熱量のことを、冷凍効果という。R01/02
 p-h線図の冷凍効果の説明用
 冷媒から、ではなくて、周囲から、ということだけど…(汗)。健闘を祈る。

・使用する冷媒が同じであれば、蒸発器における冷凍効果の値は、凝縮温度、蒸発温度、膨張弁手前の冷媒液過冷却度、蒸発器出口の冷媒蒸気過熱度などの冷凍サイクルの運転条件によって変わらない。 H20/02 答え

【×】 そんなこたぁ~ない。と、おもわず【×】にしたくなる問題。
 しかし、分からない…という方は、p-h線図を見ながら、テキスト<8次:P17下から6行>を熟読するしかないんですよ。
 p-h線図と冷凍サイクル(冷凍効果の説明用)
 この辺にある計算式は、無理に記憶しなくてもよい。ただし、その式の意味をちょいと考えておいてほしい、この先の問題が楽になるはずだ。

・冷凍サイクルの蒸発器で、冷媒から奪う熱量のことを冷凍効果という。この冷凍効果の値は、同じ冷媒でも冷凍サイクルの運転条件によって変わる。 R02/02 答え

【×】 正しい文章にしてみましょう。初級テキスト<8次:P17 (2.2.2 冷凍効果の冷凍装置の冷凍能力)>の冒頭3行を読んで頂戴。

  冷凍サイクルの蒸発器で、冷媒が周囲から奪う熱量のことを冷凍効果という。この冷凍効果の値は、同じ冷媒でも冷凍サイクルの運転条件によって変わる。

 この、  冷媒が周囲から奪う という意味の一文はテキストのいろいろなところで使われているから、留意して読んでください。 過去問では原理1の「蒸発器」のページで(H22/01)が意味合いが似ていて引っかかるかな。


・冷凍サイクルの蒸発器で、周囲が冷媒1 kgから奪う熱量のことを、冷凍効果という。この冷凍効果の値は、同じ冷媒でも冷凍サイクルの運転条件によって変わる。 R05/02 答え

【×】 正しい文章にしてみましょう。テキスト<8次:P17 (2.4)式前後>

「冷凍サイクルの蒸発器で、冷媒 1 kg当たりで周囲から奪う熱量のことを、冷凍効果という。この冷凍効果の値は、同じ冷媒でも冷凍サイクルの運転条件によって変わる。」

 Φo = qmr(h1 - h4) [kJ/kg]


冷凍能力

・冷凍装置の蒸発器で、冷媒が吸収する単位時間あたりの熱量を冷凍能力という。 H18/01 答え

【◯】 ヒョッコリこんな問題が出る。頑張って。テキスト<8次:P6(P17も)>から読み取るしかないかな。

・法定の冷凍能力と空調用における実際の冷凍能力の値を比較すると、空調用における実際の冷凍能力のほうが大きい。 H23/03 答え

【◯】 この問題は「圧縮機の冷凍能力」だけども。
 ぅむ、はるかに大きいのです。テキスト<8次:P31(真ん中あたり)>

・冷凍装置の冷凍能力は、凝縮器の凝縮負荷よりも小さい。 H24/01 答え

【◯】 復習だよ。(ココにも置いておく。)
 テキスト<8次:P3>の「Φk = Φ + P」の式を覚えておけば損はない。凝縮負荷 Φk は、冷凍能力 Φo と圧縮機軸動力 P の和なのです。「蒸発器の冷媒に、圧縮機の熱が加わり、凝縮器で冷やしている」といったイメージができていると分り易いかなと。

・圧縮機の冷媒循環量と、蒸発器出入口の冷媒の比エンタルピー差が与えられると、冷凍装置の冷凍能力が求められる。 H12/03 答え

【◯】 テキスト<8次:P17 (2.5)式>を参照のこと。
 p-h線図の冷凍能力の説明用

  Φo = qmr(h1 - h4)
   h1:蒸発器入口比エンタルピー
   h4:蒸発器出口比エンタルピー
 この式は冷凍サイクルの基本中の基本式です。(無理に覚えなくても良いが、意味を把握しておく。)
【お知らせ】

------- 突然すみません。お知らせ -------
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・冷凍装置の冷凍能力は、蒸発器出入口における冷媒の比エンタルピー差に冷媒循環量を乗じて求められる。 H27/03 R04/03 答え

【◯】 テキスト<8次:P17(2.5)式> Wr = (h1 - h4) [kJ/kg] だね。

・冷媒循環量が 0.10 kg/s の蒸発器で周囲から16kJ/sの熱量を奪うとき、冷凍能力は 160 kJ/kg である。 H26/01 答え

【×】 結構難問!?
 冷凍能力は、冷媒循環量に冷凍効果を掛け算すれば良い。
  Φo = qmr・Wr
 で、
 Wr(h1 - h4)は、冷媒 1kg あたりの周囲から奪う熱量なのだよね。
 (『初級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<8次:P17 (2.2.2 冷凍効果と冷凍装置の冷凍能力 )>)

 問の 0.10 kg/s は 100 g/s であるから、
 1 kg あたりならば、10 倍して 160 kJ/kg の熱量を奪う(冷凍効果)ということ。
 ゆえに、Φo = 0.10 kg/s × 160 kJ/kg = 16 kJ/s
 と、なる。 (´;ェ;`)・・・、健闘を祈る!

・冷凍装置の冷凍能力は、凝縮器の凝縮負荷よりも大きい。 H29/01 答え

【×】 上記H24年度と同等の「誤り」のサービス問題です。テキスト<8次:P3>の「Φk = Φo + P」ですから、冷凍能力 Φo = Φk - P ですね。
   冷凍装置の冷凍能力は、凝縮器の凝縮負荷よりも小さい

・冷凍装置を凝縮温度一定の条件で運転する場合、蒸発圧力が低いほど、冷凍能力が減少する。 H30/03 答え

【◯】 そう、凝縮温度一定の条件で運転するなら、蒸発圧力が低いほど冷凍能力は減少する。
 初級テキストにはズバリの文章はない。<8次:P7~P8 (1.2.2 小さい温度差で良好な伝熱)> と、<8次:P17 (2.2.2 冷凍効果と冷凍装置の冷凍能力 )>辺りから、読み解くしかないだろう。

 上級テキストにはこの問いに対する的確な文面がある。
 (上級をお持ちでない方のために図を書いたので参考にしていただきたい。) ← 見たい方はクリック

「凝縮圧力が一定で蒸発温度が変化したときの冷凍効果」説明のp-h線図
 参考:『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<8次:P18>
 1. 題意の通り凝縮温度(圧力)は一定とする。
 2. 蒸発圧力 Po が、Po´ へと低下した。
 3. h1 が h1´ へと減少する。(h1 > h1´)
 4. 冷凍効果 wr = h1 - h4 は、wr´ = h1´ - h4 へと若干減少する。
 5. 冷凍能力は減少する。

 蒸発温度を必要以上に低くしない。(凝縮温度は必要以上に高くしない。)


理論断熱圧縮動力(P18)

 テキストは、<8次:P18 (2.2.3 理論断熱圧縮動力)>です。

・実際の圧縮機の圧縮動力は断熱圧縮の前後の比エンタルピー差だけで求められる。H16/01 答え

【×】 冒頭部分が、理論的圧縮動力なら正解。
 実際の圧縮機とあるので、断熱効率ηcと機械効率ηmを考慮しなければならない。この出題は問1(冷凍の原理)なので、テキスト<8次:P18 (2.2.3 理論断熱圧縮動力)>から読み取るしかないだろう。

 【以下、ここでは参考程度で】 ←  ← 時間があればどうぞ。

 「理論断熱圧縮動力:Pth 」と「実際の圧縮機の駆動に必要な軸動力:P 」の違いについて勉強しよう。
  P = Pthcηm (テキスト<8次:P31~P33>を読む(この問題的には、(3.12)式)。)

 (参考図)

圧力計画像

・冷凍サイクルの圧力比は、蒸発圧力に対する凝縮圧力の比であり、これらの圧力はゲージ圧力を用いて表される。 H25/01 答え

【×】 絶対圧力を用います。テキスト<8次:P18>(2.7)式の下行。

 この問題は圧力容器p-h線図の縦軸(絶対圧力p)の知識も問わている。テキスト<8次:P11 8行目>ちなみに、ゲージ圧力に大気圧を加えたものが、絶対圧力。テキスト<8次:P5>

・理論断熱圧縮動力は、冷媒循環量に断熱圧縮前後の比エンタルピー差を乗じたものである。 H27/02

・理論断熱圧縮動力は、冷媒循環量に断熱圧縮前後の冷媒の比エンタルピー差を乗じたものである。 H30/02 答え

【◯】 テキストには、ズバリな文章はない。
 テキスト<8次:P18 (2.2.3 理論断熱圧縮動力)>を読みつつ、Pth = qmr(h2 - h1) … (2.7)式からこの問題が正解と導くしかないです。

 ちなみに、H30年度の問題文の違いは  断熱圧縮前後の冷媒の比エンタルピー差 「冷媒の」が追加されているのみ。

・圧縮機の圧力比が大きいほど、圧縮前後の比エンタルピー差は大きくなる。その結果、単位冷媒循環量当たりの理論断熱圧縮動力も大きくなる。 R04/01 答え

【◯】 題意の通り! テキスト<8次:P18>(2.7)式の下5行を読んで。

 03/03/14 05/03/11 07/03/16 08/04/13 09/08/19 10/09/04 11/06/18 12/05/28 13/05/09 14/05/27 15/06/09 16/08/13 17/11/17 19/11/16  20/04/22 21/01/14 23/11/23

 『SIによる 初級 冷凍受験テキスト』7次改訂版への見直し、済。(14/05/20)
 『初級 冷凍受験テキスト』8次改訂版への見直し、済。(20/04/22)

修正・訂正箇所履歴

【2016/05/05 新設】

  • 「おまけ」を消去し、「理論断熱圧縮動力」の問題を追加。(2016(H28)/08/13)
  • H26/01のプチ解説を訂正。(2017(H29)/02/01)
    そうすると、Φo = 0.10kg/s × 160kJ/kg = 16kg/s
    そうすると、Φo = 0.10kg/s × 160kJ/kg = 16kJ/s
  • 160kg/s(kJ/kg)の熱量を奪う(冷凍効果) → 160kJ/kgの熱量を奪う(冷凍効果) 他、文見直し。(2019(R1)/08/07)
  • 「冷凍効果」の問題解説文を見直し。(2019(R01)/11/16)
  • テキスト8次改訂版(R01(2019)-11月改訂)へ対応、および、図の追加、文章を見直し。(2020(R02)/04/22)
  • 「冷凍効果と冷凍能力」H20/02の問題文誤植修正。「蒸発器のおける」→「蒸発器における」(2021(R03)/09/24)
  • 「冷凍効果と冷凍能力」H30/03の解説文内(「← 見たい方はクリック」)の図を修正
    低圧部の「h3」→「h4」、エンタルピー記号の位置を変更。(下図参照)
    「凝縮圧力が一定で蒸発温度が変化したときの冷凍効果」説明のp-h線図
    (2021(R03)/09/24)
  • 問題文の分類、解説文の見直し。(2021(R03)/12/01)
  • 問題文の分類、解説文の見直し。(2023(R05)/02/17)

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【参考文献】

  • 初級 受検テキスト(SIによる初級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 上級 受検テキスト(SIによる上級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 冷凍機械責任者(1・2・3冷)試験問題と解答例(13):日本冷凍空調学会
  • 第3種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院
  • 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院

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