グルグルと繰り返す冷凍サイクル
1図の単段圧縮冷凍装置で、冷媒液の流れを見てみましょう。
圧縮機に吸入された過熱蒸気は、等比エントロピー線上に沿って断熱圧縮され高圧の過熱度の 大きなガスになって、凝縮器へと流れていきます。
凝縮器に入った高圧ガスは、冷却され等圧のまま凝縮潜熱で飽和液になります。さらに、顕熱を放出して過冷却液になり受液器へと流れていきます。
受液器から出た過冷却液は、熱の出入りがない膨張弁で絞り膨張され比エンタルピーは変化せず圧力と温度が低下し、低温低圧の冷媒液(湿り蒸気)となって蒸発器へと向かいます。
冷媒液(湿り蒸気)は、外部から熱を受け入れ蒸発潜熱によって等圧のまま乾き蒸気になります。そして、顕熱によって5~10Kの過熱蒸気となり圧縮機に吸入されます。
こんな感じで、冷媒は圧縮、凝縮、絞り膨張、蒸発の状態変化を連続的に繰り返しています。これを、冷凍サイクルといいます。
では、1図の冷凍装置の冷媒の状態変化をp-h線図上に書いてみましょう。 (私が圧力や比エンタルピーの値が分かりやすく読めるように適当に書いたので、その辺よろしく。)
点1の過熱蒸気は、断熱変化で点2の高圧高温の蒸気になり、 圧力は1.0Mpa abs、比エンタルピーは400kJkgから460kJ/kgへと増加します。
点2の蒸気は、等圧変化で点3の過冷却液になり、 圧力は1.0Mpa abs、比エンタルピーは460kJ/kgから200kJ/kgへと減少します。
点3の蒸気は、等比エンタルピー変化で点4の湿り蒸気になり、 圧力は1.0Mpa absから0.05Mpa absへと低下し、比エンタルピーは200kJ/kgのまま変わりません。
点4の湿り蒸気は、外部から熱を受け入れ蒸発潜熱で気化し等圧変化で点1の過熱蒸気になり、 2図での圧力は0.05Mpa absと一定で、比エンタルピーは200kJ/kgから400kJ/kgへ増加します。
こんな感じに、 冷凍装置内では1→2→3→4→1と点線のようにグルグルと繰り返しているのです。 このp-h線図上から、各部分の圧力や温度はもちろんのこと冷凍装置の冷凍能力や成績係数など、 装置の性能を読み取ることができます。
「p-h線図って?」はこの辺で、終わりにしましょう。