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平成27年度と同等の問題です。
問2 R 404A を冷媒とする油戻し装置つき冷媒液強制循環式の冷凍装置の略図は、下図のとおりである。この装置において、圧縮機の冷媒循環量は qmr = 1.0 kg/s で、低圧受液器から油戻し装置を通る冷媒流量は q'mr = 1.0 kg/s である。この理論冷凍サイクルの各点における比エンタルピーの値は、下記のとおりである。
この装置について、(1)は解答用紙のp-h線図上に、また、(2)は解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
ただし、液ポンプの軸動力による冷媒への熱入力は無視できるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。
(20点)
(運転条件)
圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー h2 = 420 kJ/kg
受液器出口の液の比エンタルピー h2 = 240 kJ/kg
熱交換器(A)の出口の液の比エンタルピー h4 = 220 kJ/kg
低圧受液器出口の液の比エンタルピー h7 = h6 = 160 kJ/kg
低圧受液器出口の蒸気の比エンタルピー h11 = 350 kJ/kg
(1) この冷凍装置の冷凍サイクルを、解答用紙のp-h線図上に描き、点1から点12の各状態点を図中に記入せよ。
問(1)の解答用紙のp-h線図
(2) 冷凍能力 Φo(kW)および理論成績係数 (COP)th.Rを求めよ(理論成績係数は小数点第1位までとする)。
(3) 略図に示される熱交換器(A)の使用目的を二つ記述せよ。
問(1)p-h線図の解答図
この線図は、理屈は後回しにしてまず描くことができるようにしたい。
下図は、設問で指定されいる qmr と q'mr を書き込んだサイクル図です。
冷媒液強制循環式の冷媒の流れ)
冷凍能力は、 Φo = qmr(h1 - h3) です。
冷凍能力は、いろいろ理屈を考えるとつかれるので、丸暗記でどうでしょう。テキストは『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次(8次):P26右 (2.22式)>です。
(COP)th.R = Φo / P
P = qmr(h2 - h1)
設問では、h1が指定されていません。そこで、a点の熱収支から求めます。
a点(h11、h12、h1)の熱収支図
a点に、流出するものと、流入するものを、左辺右辺にまとめましょう。
qmrh1 = (qmr - q'mr)h11 + q'mrh12
この式が組み上がれば楽勝です。よって、h1は、
h1 = {(qmr - q'mr)h11 + q'mrh12} / qmr
ところが、h12がわかりません❗
不明な、h12を求める。
h12は、熱交換器(A)の熱収支から求められます。
熱交換器(A)の概略図
熱交換器(A)に、流出するものと、流入するものを、左辺右辺にまとめましょう。
qmrh3 + q'mrh6 = qmrh4 + q'mrh12
この式が組み上がれば楽勝です。h12を求めるようまとめます。
(qmrh3 - qmrh4) + q'mrh6 = q'mrh12
h12 = {(qmr(h3 - h4)+ q'mrh6} / q'mr
数値代入します。
h12 = {1.0 × (240 - 220) + 0.1 × 160} / 0.1
= (20 + 16) / 0.1 = 360
よって、h1は、
h1 = {(qmr - q'mr)h11 + q'mrh12} / qmr
= {(1.0 - 0.1) × 350 + 0.1 × 360} / 1.0
= (315 + 36) / 1.0 = 351
Φo = qmr(h1 - h3)
= 1.0 × (351 - 240)
= 111
P = qmr(h2 - h1)
= 1.0 × (420 - 351)
= 69
(COP)th.R = ΦO / P
= 111 / 69 = 1.6086956
≒ 1.6 (小数点第1位まで)
答え Φo = 111(kW)、(COP)th.R = 1.6
👉 ポイント
ご健闘をお祈りします。
【2024(R06/01/23 新設】