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今度は液噴射弁を使用した、過熱度防止の冷凍サイクルの問題です。ホットガスバイパスと違いを把握しておきましょう。ここでは、11月試験の平成13年度に出題されたものを解いてみましょう。
問2 圧縮機吸込み蒸気の過度な過熱を防止するため、凝縮器出口冷媒液流量の10%を吸込み蒸気に噴射し、吸込み蒸気の過熱度を小さくして 運転しているR22冷凍装置がある。この装置の運転状態が下記のとき、次の各問に計算式を示して答えよ。ただし、配管でも熱損失はないものとする。
(1) 圧縮機の軸動力は何kWか。
(2) この冷凍装置の冷凍能力は何kWか。
この問題は文章問題だけですから冷凍概略図とp-h線図を書きます。 とにかく、問題を良く読まねばなりません。慎重に読んで、サクッと図を書いてみましょう。(ぁ、時間がないので手書き図ですみません。ま、こんな感じにドンドンノートに書いてくださいね。)
膨張弁手前の高圧液冷媒点3を液噴射弁で絞り膨張させて、その冷媒点4を蒸発器出口で混合させ、圧縮機へ吸い込まれていきます。点1
注意、蒸発器の手前の点4の比エンタルピーは、噴射弁出口の点4と同じです。(エネルギーは同じ、つまり比エンタルピーが同じ。)
点4がいまいちわからない人は、p-h線図を見て考えてください。
点5の過熱度の大きなガスが吸い込まれて吐出しガス温度が高くなるのを防止するため、吸込み蒸気に液冷媒を噴射させています。
なので、点1の蒸気の過熱度は小さくなって圧縮機に吸い込まれていきます。
熱収支の式ができる貴方にとっては、楽勝でしょう。
これは!サービス問題と思われるぐらい簡単です。
P = qmr(h2 - h1)
ここでh1が分かりませんので求めなければなりません。でも、すでに貴方はニヤニヤして!?余裕の微笑みを浮かべているに違いありません。
ハイ、そうです、そうです。
流入するものと流出するものを左辺右辺にまとめましょう。
qmr・h1 = 0.9 × qmr × h5 + 0.1 × qmr × h4
と、なりますが qmrを消すことができますので、
h1 = 0.9 × h5 + 0.1 × h4
この式が、混合点の熱収支の式といってもよいでしょう。採点者はこの式を見るはずです。
数値代入しましょう。
では、サクッと
答え 10.24 (kW)
蒸発器に流れる冷媒流量をqmroとして、右図の混合点の熱収支を出します。入るものを左辺、出るものを右辺にまとめると。
qmro・h5 + (qmr - qmro)・h4 = qmr・h1
qmro・h5 + qmr・h4 - qmro・h4 = qmr・h1
qmro (h5 - h4) = qmr (h1 - h4)
採点者はこの式があれば大満足することでしょう。
h1を求めてみます。
はい、最初に求めたh1と同じになりました。最初に求めた方法がスマートでいいと思います。これは、まぁ、力試しってとこでしょうかね。
ひっかからないでね。
冷凍能力は蒸発器の冷凍効果(冷媒1kgが受け入れる熱量)と冷媒流量(kg/s)の積になります。
なので、蒸発器に流れる冷媒循環量をqmroとすると、
Φo = qmro (h5 - h4) と、なります。
Φo = qmro (h1 - h4) とか、
Φo = qmr (h1 - h4) とか、
Φo = qmr ( h5 - h4) とか
な~んて、式にしないように…。
ひっかからない!ようにしてくださいね。
採点者は、理解しているか(勉強しているか)をこの辺りで見ることでしょう。でも、あなたは大丈夫V
答え 30.96 (kW)
どうでしょうか、混合点の熱収支がわかれば簡単です。もちろん、概略図とp-h線図もね。
さて、液ガス熱交換器と2つの蒸発器をガンガンやって問題2の攻略は終わりにしましょう。
【2016/10/22 新設】