1種冷凍学識計算講習検定試験攻略-問1:令和6年度

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R 404A 二段圧縮一段膨張冷凍装置の冷凍サイクル

 令和5年度(検定)と同等。(ただし、理論ではなく実際の冷凍装置)

第一種冷凍機械責任者試験 令和6年度(講習検定試験)

1. R 404Aを用いた二段圧縮一段膨張冷凍装置の理論冷凍サイクルのp-h線図と、各点の状態量および冷凍装置の運転条件と圧縮機の仕様を以下に示す。このとき、次の(1)~(4)について、それぞれ解答用紙に計算式を示して答えよ。
 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は熱となって冷媒に加わるものとし、機器および配管と周囲の間で熱の出入りはないものとする。(20点)

(理論冷凍サイクルの各点の状態量)
 低段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー           h1 = 352 kJ/kg
 低段圧縮機吸込み蒸気の比体積               v1 = 0.151 m3/kg
 理論断熱圧縮後の低段圧縮機吐出しガスの比エンタルピー   h2 = 380 kJ/kg
 高段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー           h3 = 370 kJ/kg
 高段圧縮機吸込み蒸気の比体積               v3 = 0.0411 m3/kg
 理論断熱圧縮後の高段圧縮機吐出しガスの比エンタルピー   h4 = 397 kJ/kg
 中間冷却器用膨張弁直前の冷媒液の比エンタルピー      h5 = 251 kJ/kg
 蒸発器用膨張弁直前の冷媒液の比エンタルピー        h7 = 210 kJ/kg
(冷凍装置の運転条件と圧縮機の仕様)
 冷凍装置の冷凍能力                    Φo = 100 kW
 圧縮機の断熱効率(低段側、高段側ともに)         ηc = 0.70
 圧縮機の機械効率(低段側、高段側ともに)         ηm = 0.90

令和6年度講習検定試験問1のp-h線図

 (1) 低段側冷媒循環量 qmro(kg/s)を求めよ。

 (2) 高段側冷媒循環量 qmrk(kg/s)を求めよ。

 (3) 低段圧縮機の吸込み蒸気の体積流量 qvro(m3/s)と高段圧縮機の吸込み蒸気の体積流量 qvrk(m3/s)をそれぞれ求めよ。

 (4) 低段側と高段側を合わせた圧縮機の実際の総駆動軸動力 P(kW)を求めよ。

なにはともあれ、p-h線図と概略図を描きましょう。

 スラスラと書ける✍️ようになれば、合格ラインでしょう。🙌

令和6年度講習検定試験問1のp-h線図
令和6年度講習検定試験問1のp-h線図

令和6年度講習検定試験問1の概略図
令和6年度講習検定試験問1の概略図

(1) 低段側の冷媒循環量qmro(kg/s)を求めよ。

令和6年度講習検定試験問1のp-h線図qmroの求め方解説
低段側の冷媒循環量qmroの求め方解説

 これは2冷レベルの問題、解けないようであれば勉強不足です。
  ガンバ🦾


  Φo = qmro(h1 - h8

 なので、

  qmro = Φo / (h1 - h8) ここに、h7 = h8

 よって、

  qmro = 100 / (352 - 210) = 100 / 142

      = 0.7042253 ≒ 0.704


  答え 0.704 kg/s

(2) 高段側冷媒循環量qmrk(kg/s)を求めよ。

 ポイント👉️ qmrkとqmroを含んだ熱収支式を記述できるかです❗️

令和6年度講習検定試験問1の中間冷却器概略図

 左辺に入るもの、右辺に出るものでまとめます。

  qmrkh5 + qmroh'2 = qmrkh3 + qmroh7
   (h2は、h'2であることに注意)

 qmroを左辺、qmrkを右辺にまとめます。

  qmroh'2 - qmroh7 = qmrkh3 - qmrkh5

  qmro(h'2 - h7) = qmrk(h3 - h5)
  ハイ、qmroとqmrkを含んだ熱収支式の出来上がり。

 よって、

qmrk = qmro{(h'2 - h7) / (h3 - h5)} …(1)
(長々と記述していますが本番では余白が少ないですから、いきなりこの式を書いても良いですよ。練習してください。)


h2´説明用線図

 では、h'2を求めましょう。

h'2 = h1 + {(h2 - h1) / ηcηm}

   = 352 + {(380 - 352) / 0.70 × 0.90}

   = 352 + (28 / 0.63) = 396.4444

   ≒ 396.4


 (1)式に数値を代入しましょ。

qmrk = qmro{(h'2 - h7) / (h3 - h5)} …(1)

   = 0.704 × {(396.4 - 210) / (370 - 251)}

   = 0.704 × (186.4 / 119)

   = 0.704 × 1.5663875

   = 1.102736 ≒ 1.103


  答え 1.103 (kg/s)

(3) 低段圧縮機の吸込み蒸気の体積流量qvro(m3/s)と高段圧縮機の吸込み蒸気の体積流量qvrk(m3/s)をそれぞれ求めよ。

 基本式はこれ。👇️

   qvr = qmrv …(2)
   (設問に対応した記号に変更してください。)


 (2)式をもとに一気に記述ましょ。

  qvro = qmrov1

    = 0.704 × 0.151

    = 0.106304

    ≒ 0.106

  qvrk = qmrkv3

    = 1.103 × 0.0411

    = 0.0453333

    ≒ 0.0453


【参考】📖 KHKの模範解答のqvrkは、設問のv3(0.0411)が小数点以下4桁であるので、答えは「0.045」ではなく「0.0453」としてあると思われる。(「0.045」でも減点はされないと思うのだが…。)


  答え  低段 0.106 (m3/s) 高段 0.0453 (m3/s)

(4) 低段側と高段側を合わせた圧縮機の実際の総駆動軸動力P(kW)を求めよ。

 総理論圧縮動力は、低段と高段の和です。(3冷レベル)

基本式

  P = PL + PH
   = qmro(h2 - h1) / ηcηm + qmrk(h4 - h3) / ηcηm


では、数値代入して一気に。

  P = qmro(h2 - h1) / ηcηm + qmrk(h4 - h3) / ηcηm

    = 0.704 × (380 - 352) / 0.70 × 0.90 + 1.103 × (397 - 370) / 0.70 × 0.90

    = 19.712 / 0.63 + 29.781 / 0.63

    = 31.288888 + 47.271428 = 78.560316

    ≒ 78.6


  答え 78.6 (kW)

コメント

 熱収支を組み立てられるかがポイントでしょう。あと「qvr = qmrv」などの基本式全般を把握しておきましょう。

訂正箇所履歴

【2024(R06)/06/07 新設】

  • (3)の「= 0.704 × {(396.4 - 210) / 370 - 251)}」
    ➡「= 0.704 × {(396.4 - 210) / (370 - 251)}」
    (」を追加。(2024(R06)/06/19)
  • 全体的に見直し。(2024(R06)/06/29)