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平成24年度(11月試験)と同等の超サービス問題です。
問1 下図はR410Aを用いた二段圧縮一段膨張冷凍装置の理論冷凍サイクルを示したものであり、その各部における状態および運転条件は次のとおりである。このとき、次の(1)~(4)について、それぞれ解答用紙に計算式を示して答えよ。(20点)
(理論冷凍サイクルおよび運転条件)
冷凍能力 Φo = 70 kW
低段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー h1 = 420 kJ/kg
理論断熱圧縮後の低段圧縮機吐出しガスの比エンタルピー h2 = 450 kJ/kg
高段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー h3 = 430 kJ/kg
理論断熱圧縮後の高段圧縮機吐出しガスの比エンタルピー h4 = 460 kJ/kg
中間冷却器用膨張弁直前の冷媒液の比エンタルピー h5 = 250 kJ/kg
蒸発器用膨張弁直前の冷媒液の比エンタルピー h7 = 220 kJ/kg
(1) 低段側の冷媒循環量qmro(kg/s)を求めよ。
(2) 高段側の冷媒循環量qmrk(kg/s)を求めよ。
(3) 圧縮機の総理論圧縮動力Pth(kW)を求めよ。
(4) 理論冷凍サイクルの成績係数(COP)th.Rを求めよ。
スラスラと書けることが出来るぐらいになれば、合格ラインでしょう。
令和4年度講習検定試験問1のp-h線図
令和4年度講習検定試験問1の概略図
低段側の冷媒循環量qmroの求め方解説
これは2冷レベルの問題、解けないようであれば勉強不足です。
Φo = qmro(h1 - h8)
なので、
qmro = Φo / (h1 - h8) ここに、h7 = h8
よって、
qmro = 70 / (420 - 220) = 70 / 200 = 0.350
答え 0.35 kg/s
中間冷却器概略図
qmrkを導くため中間冷却器概略図を見ながら熱収支(ヒートバランス)の式を組み立てます。
左辺に入るもの、右辺に出るものを書きましょう。
qmrk h5 + qmro h2 = qmrk h3 + qmro h7
まとめます。
qmro(h2 - h7)= qmrk(h3 - h5)
よって、
模範問題集などは、この式がいきなり出てきます。暗記しても少しひねられると撃沈です。ぜひ、熱収支から式を導けるようにしてください。
では、数値代入しましょ。
答え 0.447 (kg/s)
総理論圧縮動力は、低段と高段の和ですね。(3冷レベル)
Pth = PL + PH
PL = qmro(h2 - h1)
PH = qmrk(h4 - h3)
よって、
Pth = qmro(h2 - h1)+ qmrk(h4 - h3)
= 0.350(450 - 420)+ 0.447(460 - 430)
= 0.350 × 30 + 0.447 × 30
= 10.5 + 13.41
= 23.91 ≒ 23.9
答え 23.9 (kW)
楽勝ですが、ポンミスとかで間違えて涙目にならないように、最後まで慎重に。
(COP)th.R = Φo / Pth
(COP)th.R = 70 / 23.9 = 2.9288702 ≒ 2.93
答え 2.93
熱収支がわからなくても、過去問こなして丸暗記でも解けるかと思います。とうぜん講習でヒントも与えられるでしょうし、理論サイクルの超楽勝サービス問題でした。
【2022(R04)/08/23 新設】