1種冷凍学識計算11月試験攻略-問5:令和6年度

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R 404A 用高圧受液器としてこの鋼板を使用して設計したい。

 令和3年度と同等。

第一種冷凍機械責任者試験 令和6年度 問5(11月試験)

問5 下記仕様の鋼板がある。この鋼板を用いて、屋外に設置して凝縮温度 55℃ で運転される R 404A 用高圧受液器を設計したい。この高圧受液器について、次の(1)から(3)の問に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
 ただし、R 404A 冷凍装置の凝縮温度 55℃ における高圧部設計圧力は 2.48 MPa を使用するものとする。

(20点)

(鋼板の仕様)
 使用鋼板           SM400B
 円筒胴に使用する鋼板の厚さ  ta1 = 8 mm
 鏡板に使用する鋼板の厚さ   ta2 = 8 mm

(1) 設計可能な最大の円筒胴の外径 Do は何 mm か。
ただし、溶接継手の効率は 0.70 とし、円筒胴の外径を整数値で求めよ。

(2) (1)で求めた円筒胴に取り付ける鏡板の形状を半球形とし、この鏡板には溶接継手はないものとする。これに板厚 8 mm の鋼板を使用できる理由を、必要板厚を計算して説明せよ。

(3) この高圧受液器に使用する板厚 8 mm の半球形鏡板の内面に設計圧力 2.48 MPa が作用した場合、半球面の接線方向に誘起される引張応力 σt(N/mm2)を求めよ(小数点以下第1位までとする)。

(仕様)と使用する公式

 与えられた条件と勉強して覚えた公式。

仕様
  • 仕様鋼板:SM400B
  • 円筒胴鋼板厚さ:ta1 = 8 mm
  • 鏡板鋼板厚さ:ta2 = 8 mm
  • SM400B許容引張応力:σa = 100 N/mm2
  • 溶接継手効率(胴):η = 0.7
  • 腐れしろ(屋外):α = 1 mm
  • 溶接継手効率(鏡板):η = 1.0
  • 鏡板形状係数:W = 1
  • 設計圧力:P = 2.48 Mpa
使用する公式
  • 円筒胴:ta = PDi / (2σaη - 1.2P) + α
  • 円筒胴(上式の変形):Di = (ta - α)(2σaη - 1.2P) / P
  • 鏡板:ta = PRW / (2σaη - 0.2P) + α
  • 鏡板:σt = PRW / 2ta2
  • ta:板必要厚さ Di:胴内径 σa:接線方向引張応力 η:溶接継手効率 P:設計圧力 α:腐れしろ R:鏡板内面半径 W:形態係数

参照)
『上級冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次:P179~P181>

(1) 設計可能な最大の円筒胴の外径 Do は何 mm か。ただし、溶接継手の効率は 0.70 とし、円筒胴の外径を整数値で求めよ。

基本式(円筒胴)

  ta = PDi / (2σaη - 1.2P) + α

 上記の式を変形して、内径 Di

  Di = (tai - α)(2σaη - 1.2P) / P

  Do = Di + 2ta1

 屋外使用なので、α = 1、SM400B鋼板なので、σa = 100 N/mm2である。

 円筒胴の内径 Diは、

  Di = (tai - α) (2σaη - 1.2P) / P

    = (8 - 1)(2 × 100 × 0.70 - 1.2 × 2.48) / 2.48

    = (8 - 1)(2 × 100 × 0.70 - 1.2 × 2.48) / 2.48

    = 959.168 / 2.48 = 386.76129

    ≒ 386.76 mm

 ここで、切り捨てて Di = 386 mm とします。 整数値を指定されていることも考慮してください。

 円筒胴の外径 Doは、

  Do = Di + 2ta1

    = 386 + 2 × 8

    = 402


  答え Do = 402 mm

(2) (1)で求めた円筒胴に取り付ける鏡板の形状を半球形とし、この鏡板には溶接継手はないものとする。これに板厚 8 mm の鋼板を使用できる理由を、必要板厚を計算して説明せよ。

基本式(半球形鏡板)

令和6問5(3) 半球型鏡板円筒胴イメージ図
令和6問5(3) 半球型鏡板円筒胴イメージ図

  ta = PRW / (2σaη - 0.2P) + α

  2R = Di = Do - 2ta1

 ゆえに、R = (Do - 2ta1) / 2


 半径 R は、

  R = (Do - 2ta1) / 2

   = (402 - 2 × 8) / 2 = 386 / 2

   = 193 mm

 鏡板の必要板厚 ta は、

  ta = PRW / (2σaη - 0.2P) + α

    = (2.48 × 193 × 1) / (2 × 100 × 1 - 0.2 × 2.48) + 1

    = 478.64 / 199.504 + 1

    = 2.39914 + 1 = 3.39914

    ≒ 4 mm  切り上げること)


  答え この半球形の鏡板必要厚さは、4 mm である。よって、板厚 8 mm の鋼板は使用可能である。

(3) この高圧受液器に使用する板厚 8 mm の半球形鏡板の内面に設計圧力 2.48 MPa が作用した場合、半球面の接線方向に誘起される引張応力 σt(N/mm2)を求めよ(小数点以下第1位までとする)。

基本式(半球形鏡板)

  σt = PRW / 2ta2


 では、数値代入。

  σt = PRW / 2ta2

    = 2.48 × 193 × 1 / (2 × 8)

    = 478.64 / 16 = 29.915

    ≒ 29.9  小数点以下第1位まで)


  答え σt = 29.9(N/mm2


👉 ポイント

  • 円筒胴と鏡板の該当の公式を理解し覚えているか。(「鏡板」の公式がポイント)
  • まわりくどい問題文なので読むだけで疲れます。(少々💩っぽいです。)頑張ってよく読みましょう。

 満遍なく過去問をこなすしかないでしょう。健闘を祈る。


訂正箇所履歴

【2024(R07)/01/16 新設】

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