EchoLand-plus
平成26年度と同等です。(数値も全く同じです。ビックリ❢❢😲)
問1 アンモニアを冷媒とする二段圧縮一段膨張の冷凍装置を下記の冷凍サイクルの運転条件で運転する。このとき、凝縮器の冷媒循環量 qmrk(kg/s)、高段圧縮機の体積効率 ηvH および
この冷凍装置の実際の成績係数 (COP)R を解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ(小数点以下第2位までとする)。
ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は吐出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。
(20点)
(理論冷凍サイクルの運転条件)
低段圧縮機の吸込み蒸気の比エンタルピー h1 = 1440 kJ/kg
低段圧縮機の吸込み蒸気の比体積 v1 = 0.987 m3/kg
低段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー h2 = 1580 kJ/kg
高段圧縮機の吸込み蒸気の比エンタルピー h3 = 1470 kJ/kg
高段圧縮機の吸込み蒸気の比体積 v3 = 0.335 m3/kg
高段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー h4 = 1690 kJ/kg
凝縮器出口の液の比エンタルピー h5 = 366 kJ/kg
蒸発器用膨張弁直前の液の比エンタルピー h7 = 280 kJ/kg
(実際の冷凍装置の運転条件)
冷凍能力 Φo = 450 kW
低段側ピストン押しのけ量 VL = 1500 m3/h
押しのけ量比 a = 2.0
圧縮機の断熱効率(低段、高段とも) ηc = 0.70
圧縮機の機械効率(低段、高段とも) ηm = 0.90
p-h線図と、装置の概略図を描き、基本式もリストアップしましょ。
サクっと描き上げられるように何度も練習しましょう。
問1全体の基本式は、
Vηv = qmrv …(1)
qmro = Φo / (h1 - h4) …(2)
a = VL / VH …(3)
(COP)R = Φo / P …(4)
このくらいかな。
あとは、中間冷却器の熱収支式の組み立て必須。
では、qmrkから求めましょう。ハイ、中間冷却器の熱収支の式を組み立ててみましょう!
問 1 二段圧縮一段膨張中間冷却器図
問 1 二段圧縮一段膨張p-h線図ミニ
左辺に入るもの、右辺に出るものをまとめます。
qmrkh5 + qmroh´2= qmrkh3 + qmroh7
h2 は、h´2 であることに注意
qmro を左辺、qmrk を右辺にまとめます。
qmroh´2- qmroh7 = qmrkh3 - qmrkh5
qmro(h´2- h7) = qmrk(h3 - h5)
qmro と qmrk を含んだ熱収支式の出来上がり。
よって、qmrk は、
qmrk = {qmro(h´2- h7)} / (h3 - h5) …(5)
ここで、qmro と h´2 を求めましょう。
h'2 は、
h'2 = h1 + (h2 - h1) / ηcηm
= 1440 + {(1580 - 1440) / (0.70 × 0.90)}
= 1440 + (140 / 0.63) = 1662.2222
≒ 1662
qmro は(2)式より、
qmro = Φo / (h1 - h7)
= 450 / (1440 - 200)
= 0.3629032 ≒ 0.363
では、(5)式に数値代入
qmrk = {qmro(h´2- h7)} / (h3 - h5) …(5)
= {0.363 × (1662 - 200)} / (1470 - 366)
= 530.706 / 1104 = 0.4807119
≒ 0.48 (小数点以下第2位まで)
答え qmrk = 0.48 (kg/s)
協会発表等の模範解答では(1)式が突然記され数値代入が始まります。これは過去問でも何度か紹介してあるバイパス冷媒循環量 q'mro を用いた熱収支式を組み立る方法です。ここに参考として記しておきましょう。
問 1 二段圧縮一段膨張 p-h線図【参考】
…(1)
(2)式の赤字部分は、h´2 を求める部分です。ここでは(3)式を導くための説明をすることにしましょう。
…(2)
…(3)
では、中間冷却器の熱収支を用いて(3)式を求めてみましょう。
ここで基本式 👉️ qmrk = qmro + q´mro …(4️)
(『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次:P28左(2.26)式を参照のこと>)
問 1 二段圧縮一段膨張中間冷却器図【参考】
左辺に入るもの、右辺に出るものでまとめます。
(qmrk - q´mro)h5 + q'mroh6 + qmroh´2 = qmrkh3 + qmroh7
(4️)式および、(qmrk - q´mro) = qmro なので、qmrk を消します。
qmroh5 + q´mroh6 + qmroh´2 = (qmro + q´mro) h3 + qmroh7
qmro と q´mro だけの式ができあがりました。
h3 の部分を展開して
qmroh5 + q´mroh6 + qmroh´2 = qmroh3 + q´mroh3 + qmroh7
qmro を左に、 q´mro を右に、整理整頓。
qmroh5 - qmroh7 + qmroh´2- qmroh3 = q´mroh3 - q´mroh6
ここで、まとめます。p-h線図をよ~く見てください。
問 1 二段圧縮一段膨張 p-h線図【参考】
左辺は h´2 と h3、h5 と h7 がペアになります。
qmro{(h5 - h7)+(h´2- h3)}= q´mro(h3 - h6)
👉️ h5 = h6 ですが、線図と照らし合わせるとこの式の使い分けがきれいな式になります。😉
このような熱収支の式が、できるかできないかで、合格の合否の分かれ道となるでしょう。
変形して、(3)式が出来上がります。
…(3)
あとは、数値代入すればよいのでココで終わりにします。健闘を祈る。✌️
VHηvH = qmrkv3 👈️ …(1)より
a = VL / VH …(3)
(3)式より VH を求めなしょ。
VH = VL / a
= 1500 / 2.0 = 750 m3/h
(1)式より ηvH を求めましょ。注)ピストン押しのけ量 VH を秒(s)に単位換算すること。
ηvH = qmrkv3 / VH
= (0.48 × 0.335) / (750 / 3600)
= 0.1608 / 0.2083333 = 0.7718401
≒ 0.77 (小数点以下第2位まで)
答え ηvH = 0.77
(COP)R = Φo / P
P = PL + PH
PL = qmro (h2 - h1) / ηcηm
PH = qmrk (h4 - h3) / ηcηm
注)本番では余白が足りなくなると思います。式を組み合わせて短縮して記述しましょう。
では、数値代入して一気に。
PL = qmro (h2 - h1) / ηcηm
= {0.363 × (1580 - 1440)} / (0.70 × 0.90)
= 50.82 / 0.63 = 80.66666
≒ 80.67
PH = qmrK (h4 - h3) / ηcηm
= {0.481 × (1690 - 1470)} / (0.70 × 0.90)
= 105.82 / 0.63 = 167.96825
≒ 167.97
P = PL + PH
= 80.67 + 167.97
= 248.64
(COP)R = Φo / P
= 450 / 248.64 = 1.809
≒ 1.81 (小数点以下第2位まで)
答え (COP)R = 1.81
ポイント
ご健闘をお祈りします。
【2025(R07)/01/08 新設】