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平成22年度が、参考になるかな。
問1 R410Aを冷媒とする二段圧縮一段膨張の冷凍装置を下記の冷凍サイクルの運転条件で運転するとき、低段圧縮機吸込み蒸気の密度ρ1、高段圧縮機吸込み蒸気の密度ρ3および実際の圧縮機駆動の総軸動力Pをそれぞれ求めよ。なお、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は吐出しガスに熱として加わるものとし、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。
(20点)
(理論冷凍サイクルの運転条件)
低段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー h1 = 423 kJ/kg
低段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー h2 = 460 kJ/kg
高段圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー h3 = 437 kJ/kg
高段圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー h4 = 479 kJ/kg
中間冷却器用膨張弁直前の液の比エンタルピー h5 = 241 kJ/kg
蒸発器用膨張弁直前の液の比エンタルピー h7 = 221 kJ/kg
(実際の冷凍装置の運転条件)
冷凍能力 Φo = 220 kW
低段側ピストン押しのけ量 VL = 660 m3/h
押しのけ量比 a = 2.0
圧縮機の体積効率(低段側、高段側とも) ηv = 0.75
圧縮機の断熱効率(低段側、高段側とも) ηc = 0.70
圧縮機の機械効率(低段側、高段側とも) ηm = 0.85
密度ρ〔kg/m3〕は、比体積v〔m3/kg〕の逆数 ρ=1/v です。(参照:『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次:P6右 2行目>,<8次:P6右 4行目>等密度線)
そこで、低段側比体積v1と高段側比体積v3を次式から求めます。(2冷の復習レベルです。)
VLηm=qmrov1
VHηm=qmrkv3
ここで、不明な数値は、VH 、qmro 、qmrkですね。
それでは、v1を求めるために、qmroを求めましょう。
はい、基本式はこれ!
Φo=qmro(h1-h8)(2冷の復習)
では、qmroを求めて、v1を一気に行きましょう。
ここに、h7=h8
VLは、「h」から「s」への単位変換をお忘れなく。
次は、v1を求めるために、高段側冷媒循環量qmrkを求めます。
求めたqmro を使って、おなじみの中間冷却器のヒートバランスを組み立てます。
左辺に入るもの、右辺に出るものをまとめます。(q´mroを使わず、qmrkとqmroのみで組み立てます。 (理由は面倒なので。参考:平成28年度(1)qmrkを求める))
qmrkh5 + qmroh2´= qmrkh3 + qmroh7
(h2は、h2´であることに注意)
qmroを左辺、qmrkを右辺にまとめます。
qmroh2´- qmroh7 = qmrkh3 - qmrkh5
qmro(h2´- h7) = qmrk(h3 - h5)
ハイ、qmroとqmrkを含んだ熱収支式の出来上がり。
さて、h2´を求めて、qmrkを求めましょう。
さて、v3を求めるために、VHを求めねばなりません。それには、はい、運転条件にある押しのけ量比ですね。
a=VH / VL ですから、
では、v3を求め、ρ1 ρ3を求めましょう。
VHは、「h」から「s」への単位変換をお忘れなく。
答え ρ1= 7.9〔kg/m3〕 ρ3= 21.4〔kg/m3〕
基本式は、
P=PL+PH
=qmro(h2´-h1)+qmrk(h4´-h3)
h4´を求めましょう。
P=qmro(h2´-h1)+qmrk(h4´-h3)
=1.09×(485-423)+1.47×(508-437)
=67.58+104.37
=171.95 ≒ 172
答え P=172〔kW〕
この問題の要点は、
いつもながらですが、計算はくどくどと記しています。本番では、思い切って削除しスマートな記述にしてください。それには、過去問をこなし
これでどうだ!採点者殿!
と豪語するような自信を持てるぐらいになりましょう。
ご健闘をお祈りしています。
【2020(R02)/12/02 新設】