1種冷凍学識計算講習検定試験攻略-問2:平成19年度

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ホットガスバイパス容量制御小形R22冷凍装置

 ホットガスバイパスの混合点ヒートバランス(熱収支)が組み立てられるかが、ポイントです。

第一種冷凍機械責任者試験 平成19年度(講習検定試験)

問2 下図は、負荷減少時に圧縮機吐出しガスの一部を膨張弁直後の低圧側にバイパス弁を通して絞り膨張させ、容量制御する小形R22冷凍装置の略図で、下記の理論冷凍サイクルの条件で全負荷運転されている。

平成19年度1種冷凍講習検定試験問2ホットガスバイパス容量制御小形R22冷凍装置の運転条件

 負荷が減少したため容量制御運転を行い、装置の冷凍能力を全負荷時の80%にした。これについて、次の(1)~(3)に計算式を示して答えよ。

 ただし、容量制御運転は、状態点1、2、3および4の冷媒状態ならびに圧縮機吐出しガス量が全負荷時と変わることなくできるものとする。

(20点)

ホットガスバイパス容量制御小形R22冷凍装置の概略図

(1) この冷凍装置の容量制御時のサイクルを解答用紙のp-h線図の略図上に示し、さらに点1~点6の各点を図中に記入せよ。

(2) 低圧側にバイパスされる冷媒量は、圧縮機吐出しガス量の何%か。

(3) 容量制御運転時における成績係数はいくらか。

(1) この冷凍装置の容量制御時のサイクルを解答用紙のp-h線図の略図上に示し、さらに点1~点6の各点を図中に記入せよ。

この冷凍装置の容量制御時の点1~点6サイクル線図 ホットガスバイパス容量制御冷凍装置の説明用概略図

<<ホットガスバイパス式容量制御サイクル>>(補足)

  • 負荷減少時に高圧液冷媒点2を液噴射弁で絞り膨張させて、その冷媒点5は過熱度の大きな低圧蒸気となる。蒸発器入口で低圧の湿り蒸気4と混合させ、状態点6となって蒸発器に入ります。
  • 負荷減少時には、こうして点1は全負荷時と同様の蒸気となって圧縮機に吸い込まれます。

(2) 低圧側にバイパスされる冷媒量は、圧縮機吐出しガス量の何%か。

 設問は、  冷凍能力を全負荷時の80%にした とあり、与えられるものが冷媒の量ではない。少々難解かも。

 与えられている数値は、  冷凍能力全負荷時の80% と  h1、h2、h3の比エンタルピー値 のみである。 そこで、『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次(8次):P22の (2.15)式(2.16)式>を参考にしていただきたい。

ホットガスバイパス容量制御「全負荷時」の概略図
全負荷時の説明図

 全負荷時の冷凍効果(冷凍能力ではない)wrは、図のようにバイバス回路がない単純な冷凍装置になりますので、

 wr = h1 - h4

 設問では、容量制御時は冷凍能力が80%となっています。この時の冷凍効果wrcは、

 wrc = h1 - h6 です。

 でも、h6がわかりませんので、ヒートバランスから求めましょう。

ホットガスバイパス容量制御「全負荷時」の概略図
容量制御時の点a参考図

 混合点aのヒートバランスを組みます。いつものように、入るものを左辺出るものを右辺にまとめてみましょ。

 容量制御時吐出しガス1kgに対しバイパス量の割合を  kg/kg とします。

 (1-x)h4 + x・h5 = h6

 整理します。

 h6 = (h5-h4)x + h4

 数値代入しましょ

 h6 =(461-255)x + 255
   = 206x + 255


 よって、

wrcとwrを求める

 ここで設問から、

xを求める

 本番では、要点をまとめて大胆に式を短縮してください!

   答え  14.1 %

(3) 容量制御運転時における成績係数はいくらか。

 ぇっと、設問での容量制御時の成績係数は、比エンタルピーhだけの公式(2冷レベル)でまとめることになります。

 (2)で導き出した式を使いh6を求め、COP式に代入します。

h6を求める COPを求める

   答え 1.9

コメント

 冷媒循環量が具体的に与えられていないので、冷凍能力や動力が求められませんでした。なので、冷凍効果など比エンタルピーhだけで計算式を組み立てるという頭の体操的な問題でした。

訂正箇所履歴

【2018(H30)/08/14 新設】

  • (3)h6の数値が間違っていたので、前文を式を修正。(中村様、ご指摘ありがとうございました。)(2022(R04)/01/27)
    【修正前】
    h6が間違っているCOPを求める式(修正前)
    【修正後は(3)本文へ。】
  • 『上級 冷凍受験テキスト』9次改訂版に対応。(2023(R05)/05/31)

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