1種冷凍学識計算11月試験攻略-問2:平成30年度

EchoLand-plus

液噴射弁付き冷凍装置

 熱収支式が組み立てられれば、あとは2冷レベルですから、サッサと片付けて他の問題に移りましょう。

第一種冷凍機械責任者試験 平成30年度(11月試験)

問2 下図に示すR410A冷凍装置は、過熱度の大きい圧縮機吸込み蒸気に凝縮器出口冷媒液の一部を噴射することで、圧縮機吸込み蒸気の過熱度を小さくして容量制御を行っており、下記の条件で運転するものとする。 凝縮器出口の冷媒循環量の10%を噴射して容量制御を行っているとき、次の(1)から(3)の間に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は吐き出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。

(20点)

第一種冷凍機械責任者試験問2(平成30年度)の問題図

第一種冷凍機械責任者試験「学識」問2(平成30年度)液噴射弁付き冷凍装置の運転条件

 (1)この冷凍装置の冷凍能力Φo(kW)を求めよ。

 (2)圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピーh1(kJ/kg)を求めよ。

 (3)この冷凍装置の実際の成績係数(COP)Rを求めよ。

(1)この冷凍装置の冷凍能力Φo(kW)を求めよ

液噴射弁冷凍サイクルqmrの流れ概略図

 冷媒循環量qmrの10%を液噴射しているときのΦoは、

  Φo = qmr(1 - 0.1)×(h5 - h4)

  である。

 ここに、h4 = h3

Φo計算式

 答え Φo = 89.1(kW)


(2)圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピーh1(kJ/kg)を求めよ。

a点の熱収支図

 点aの熱収支の式を組み立てます。

 流出するものと流入するものを左辺右辺にまとめましょう。

 qmr・h1 = 0.1・qmr・h6 + qmr(1-0.1)・h5

 qmrを消します。

  h1 = 0.1 × h6 + 0.9 × h5

 この式が、混合点の熱収支の式といってもよいでしょう。(採点者はこの式を見るはずです。)


 数値代入しましょう。

  h1 = 0.1 × 242 + 0.9 × 440 = 420.2 ≒ 420 (kJ/kg)

 答え h1 = 420 (kJ/kg)

(3)この冷凍装置の実際の成績係数(COP)Rを求めよ。

 h2´を求めましょう。

h2´を求める式 h2´を求める式に数値代入

 圧縮機軸動力Pを求め、(COP)Rを求めましょう。(Φoは(1)で求めました。)

圧縮機軸動力Pを求める (COP)Rを求める

  答え (COP)R = 2.12


 この問題の要点は、

  • 冷媒混合点の熱収支を理解しているか。
  • うっかり、h2´の計算をせず理論値にしないこと(2冷レベル)

 ぐらいかな。過去問をこなしていれば大丈夫でしょう。

 注) 他のページにも記していますが、この攻略では長々と計算式を記述しています。本番では用紙に書ききれないし、その必要もなく時間がかかるので、要点をまとめて短縮してください。


訂正箇所履歴

【2019/03/31 新設】

  • 問題文の表題が平成20年度だったので、30年度に変更。(2020(R01)/02/01)

Back to top ↑