1種冷凍学識計算11月試験攻略-問2:平成29年度

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2台の蒸発器

 1台の圧縮機と2台の蒸発器の冷凍サイクル。H22年度と同等の問題です。

第一種冷凍機械責任者試験 平成29年度(11月試験)

問2 R22を冷媒とする蒸発温度の異なる2台の蒸発器を1台の圧縮機で冷却する冷凍装置は、下図のとおりである。

 この装置において、圧縮機の冷媒循環量は qmr = 0.4kg/s、蒸発器Ⅰを流れる流量と蒸発器Ⅱを流れる流量の比は1:1であり、この装置の冷凍サイクルの運転条件と圧縮機の効率は下記のとおりである。

 この装置について、次の(1)の聞は解答用紙のp-h線図上に、(2)および(3)の間は解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は吐出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。 (20点)

第一種冷凍機械責任者試験問2(平成29年度)の問題図

第一種冷凍機械責任者試験「学識」問2(平成29年度)全負荷時の運転条件

 (1)この冷凍装置の理論冷凍サイクルを解答用紙のp-h線図上に描き、点lから点8の各状態点を図中に記入せよ。ただし、点1と点2は、解答用紙のそれぞれの点を通るものとする。

 (2)この冷凍装置の実際の冷凍能力Φo(kW)を求めよ。

 (3)実際の成績係数(COP)Rを求めよ。

(1)この冷凍装置の理論冷凍サイクルを解答用紙のp-h線図上に描き、点lから点8の各状態点を図中に記入せよ。ただし、点1と点2は、解答用紙のそれぞれの点を通るものとする。

   ただし、点1と点2は、解答用紙のそれぞれの点 は、解答用紙がないので不明であるが、たぶん点1と点2が記されていると思う。点5、6、8の位置が微妙なので採点しやすくしたのであろう。 もちろん、受験者においても作図が楽になるような気がします。(装置略図は参考にするため掲載しました。)

 第一種冷凍問2 平成29年度p-h線図 第一種冷凍機械責任者試験問2(平成29年度)の参考図<参考図>

 テキストでは、『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次(8次):P21 (図2.11 )>です。

(2)この冷凍装置の実際の冷凍能力Φo(kW)を求めよ。

 平成22年度をほとんどコピペしました。

 冷凍能力Φoは、蒸発器ⅠとⅡの冷凍能力をそれぞれ、Φo1とΦo2とする。

 図を見ながらどうぞ。

qmrを書き加えたサイクル図

  Φo = Φo1 + Φo2  で、ある。

   Φo1 = qmr1(h5 - h4))

   Φo1 = qmr2(h8 - h7))

 ここで、問題で指定されているqmrの条件は、

  qmr1 : qmr2 = 1 : 1 である。

 なので、

   Φo1 = 1/2qmr(h5 - h4)

   Φo1 = 1/2qmr(h8 - h7)  と、なる。

 そういうわけで、

Φoを求める

 答え Φo = 65 kW

(3)実際の成績係数(COP)Rを求めよ。

 まずは、基本式。

(COP)Rを求める式

 Φoは(2)で求めたので、65kWを使いましょう。


 さて。Pは、

Pを求める式

 ですが、h1が不明です。h1を導き出すには、a点の熱収支を式にまとめればよいですね。

第一種冷凍問2 平成29年度ヒートバランス

出るものを左辺、入るものを右辺にまとめます。

 qmr・h1 = qmr1・h6 + qmr2・h8

ここに、設問の流量比から

 qmr1 = 1/2qmr

 qmr2 = 1/2qmr

なので、

 qmr・h1 = 1/2qmr・h6 + 1/2qmr・h8

h1を求め、Pまで一気に。

h1を求める Pを求める

 さくっと、

(COP)Rを求める式に数値代入

  答え (COP)R = 2.61


 この問題の要点は、

  • p-h線図を満遍なく描けるほど勉強しているか。
  • 2台の蒸発器の冷媒循環量の理屈を把握しているか。
  • 冷媒混合点の熱収支を理解しているか。

 ぐらいかな。過去問をこなしていれば大丈夫でしょう。

 上記の解説から、市販の模範解答のように一気に組み立てた式を作り短縮する練習をしましょう。本番ではこんなに書くスペースがありません。ご健闘をお祈りします。


訂正箇所履歴

【2018/01/22 新設】

  •   (3)実勢の成績係数 →   (3)実際の成績係数 に訂正。 (2019(H31)/03/30)
  • 『上級 冷凍受験テキスト』9次改訂版に対応。(2023(R05)/06/01)

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