1種冷凍学識計算講習検定試験攻略-問1:平成13年度

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「二段圧縮一段膨張冷凍装置」です。

 問題文は、図や線図がありません文字だけです。理論値ではありません。

第一種冷凍機械責任者試験 平成13年度(検定試験)

問題1 冷凍能力25kWの二段圧縮一段膨張冷凍装置が下記の冷凍サイクルで運転されている。

平成13年度1種冷凍講習検定試験問1冷凍装置仕様

(1)および(2)について計算の過程を示して答えよ。ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は熱として冷媒に加わるものとし、配管での熱損失はないものとする。

 (1) この冷凍装置の実際の凝縮負荷は何kWか。

 (2) この冷凍装置の実際の成績係数はいくらか。

なにはともあれ、概略図と線図を描きましょう。

第一種冷凍機械責任者学識【講習検定】平成13年度問1線図(二段圧縮一段膨張)
こんな感じですかね。 目をつぶっても描けるぐらいなら合格!

 (1) この冷凍装置の実際の凝縮負荷は何kWか。

 解き方の流れをザッと記しておきましょう。

  1. Φoを使ってqmroを求める。
  2. qmroとqmrkを使って中間冷却器の熱収支式を組む。
  3. h2´を求める。
  4. 熱収支式より、qmrkを求める。
  5. h4´を求める。
  6. Φkを求める。

 記号を決めておきましょう。

  • Φo : 冷凍能力 kW
  • Φk : 凝縮負荷 kW
  • qmro : 低段側冷媒循環量 kg/s
  • qmrk : 高段側冷媒循環量 kg/s
  • h2´ : 実際の低段側吐き出しガス比エンタルピー kJ/kg
  • h4´ : 実際の高段側吐き出しガス比エンタルピー kJ/kg

1.qmroをサクッと求めましょう。

 冷凍能力Φoは25kWと与えられていますから、次式から計算できます。

 Φo = qmro(h1 - h8)

qmroをサクッと求めましょう。数値代入
2.qmroとqmrkを使って中間冷却器の熱収支式を組ましょう。

中間冷却器概略図

 左辺に入るもの、右辺に出るものでまとめます。

  qmrk・h5 + qmro・h2´ = qmrk・h3 + qmro・h7
   (h2は、h2´であることに注意)

 qmroを左辺、qmrkを右辺にまとめます。

  qmro・h2´- qmro・h7 = qmrk・h3 - qmrk・h5

  qmro(h2´- h7) = qmrk(h3 - h5)
  ハイ、qmroとqmrkを含んだ熱収支式の出来上がり。

3.h2´を求めましょう。

 h4´は、描いてありません。

h2´説明用線図


 h2´は実際の吐き出しガス比エンタルピーです。圧縮機の機械的摩擦損失仕事は熱として冷媒に加わると指定されていますので、次式で求めます。

h2´を求める式。数値代入
4.熱収支式からqmrkを求めましょう。

 2.で導き出した熱収支の式。これは記憶するより、導き出せるようにした方が断然お得です。


 qmro(h2´ - h7) = qmrk(h3 - h5)


 算数の時間って感じですが、数値代入をくれぐれも間違えないように。

熱収支式からqmrkを求める式へ数値代入
5.h4´を求めましょう。

凝縮負荷Φkを求めるには、高段圧縮機の実際の吐き出しガス比エンタルピーh4´が必要です。

h4´説明用線図


h4´を求める式。数値代入

6.Φkを求めましょう。

 基本式はコレ。


  Φk = qmrk(h4´ - h5)


   h4は、h4´であることに注意。

   h5をh7にしないように。

Φkを求める。数値代入

 答え 39.53 kW

 (2) この冷凍装置の実際の成績係数はいくらか。

 3種類の解き方を記しておきます。

1. 低段側軸動力PLと高段側軸動力PHを求めて…云々。のオーソドックスな解き方

 (1)で、qmro、qmrk、h2´、h4´をせっかく求めたので使おうじゃないか。という感じ。

COPのオーソドックスな解き方

 数値代入して一気に。

COPのオーソドックスな解き方数値代入1
COPのオーソドックスな解き方数値代入2

 答え 1.72


2. 模範解答によくある式を使う解き方。

 比エンタルピーだけを使用した、とてもスマートな式が模範解答にはいきなり記されています。その式を導き出してみましょう。  ま、前途の解き方を一気に式にして整理するだけなんですけどね…。

模範解答によくある式を使う解き方。基本式。

 COPを求める式に、基本式を組み込みます。

模範解答によくある式を使う解き方。基本式をCOPを求める式に組み込みます。

 模範解答に出てくる式が出来上がりました。(本番では、この式をいきなり書けばよいでしょう。)

 注) この式はh2´とh4´ですが、ηc・ηmを使用してh2(h2´)とh4で計算する式もあります。 (詳細は、平成22年度(11月試験)問1:二段圧縮一段膨張の(COP)Rを参照のこと。)

 疲れましたが、数値代入して計算してみましょうか。

模範解答によくある式を使う解き方。数値代入しましょう。

 答え 1.72


3. COPを凝縮負荷Φkと冷凍能力Φoを使用して求める解き方。

 「ぁ、そうか!(1)求めたΦkを使い超簡単に計算する。」という感じ。 設問的には、Φoが指定されていて、Φkを求めたのだからこの解き方が本流かなぁ?講習でヒントがあるかも。

COPを凝縮負荷Φkと冷凍能力Φoを使用して求める解き方。基本式

 と、いうわけです。

COPを凝縮負荷Φkと冷凍能力Φoを使用して求める解き方。数値代入

 答え 1.72

 そんなわけで、 とっても長い解答になってしまいましたが、本番ではこんなに書ききれません。採点者の気持ちになって要点が通じるような、ざっくりカットした計算式を組み立ててください。


 ご健闘をお祈りしています。

訂正箇所履歴

【2018(H30)/06/03 新設】

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