1種冷凍学識計算講習検定試験攻略-問2:令和6年度

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液ガス熱交換器付きR32冷凍装置

  平成30年度と同等です。(参考にする場合h4~h7記号が異なるので注意してください。(誤植ではありません。))

第一種冷凍機械責任者試験 令和6年度(講習検定試験)

2. 液ガス熱交換器付き R 32 冷凍装置の概略を下図に示す。その運転状態および圧縮機の効率は以下のとおりである。

(運転状態)
 圧縮機吸込み蒸気の比エンタルピー           h1 = 524 kJ/kg
 理論断熱圧縮後の圧縮機吐出しガスの比エンタルピー   h2 = 588 kJ/kg
 受液器出口の冷媒液の比エンタルピー          h3 = 265 kJ/kg
 蒸発器出口の冷媒蒸気の比エンタルピー         h7 = 514 kJ/kg
 実際の凝縮負荷                    Φk = 102 kW
(圧縮機の効率)
 断熱効率                       ηc = 0.75
 機械効率                       ηm = 0.85

 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は熱となって冷媒に加えられ、機器および配管と周囲との間で熱の出入りはないものとする。 このとき、次の(1)~(5)について、それぞれ解答用紙に計算式を示して答えよ。(20点)

令和6年度4種冷凍講習検定試験問2(液ガス熱交換器付きR32冷凍装置の概略図)
液ガス熱交換器付きR32冷凍装置の概略図

(1) 実際の圧縮機吐出しガスの比エンタルピーh´2 (kJ/kg)を求めよ。

(2) 冷媒循環量 qmr (kg/s)を求めよ。

(3) 液ガス熱交換器における高温冷媒から低温冷媒への伝熱量 Φh (kW)を求めよ。

(4) 実際の冷凍能力 Φo (kW)を求めよ。

(5) 実際の成績係数 (COP)R を求めよ。

とりあえず、p-h線図を描きましょう。

 与えられたな数値や必要な記号などを書き込み、サクッと描きましょう。目をつぶって描けられるようであれば、たぶん合格!!

令和6年度1種冷凍講習検定試験問2 液ガス熱交換器付き冷凍装置のp-h線図 令和6年度1種冷凍講習検定試験問2 液ガス熱交換器付き冷凍装置の概略図

 ポイント👉️ 比エンタルピーの状態点のh5(4) ~ h7は、出題年度により異なっているので注意してください。上級テキストもページにより異なっています。(理由は略 😷)

 参考📒 せっかくなので参考に平成30年度の図を掲載しておきましょう。

平成29年度1種冷凍講習検定試験問2 液ガス熱交換器付き冷凍装置p-h線図 平成29年度1種冷凍講習検定試験問2 液ガス熱交換器付き冷凍装置概略図

(1) 実際の圧縮機の吐出しガスの比エンタルピーh´2 (kJ/kg)を求めよ。

h´2説明用線図
h´2説明用線図

 h'2を求めましょう。(解説略:2冷レベル)

h'2 = h1 + {(h2 - h1) / ηcηm}

   = 524 + {(588 - 524) / 0.75 × 0.85}

   = 524 + (64 / 0.6375) = 624.39215

   ≒ 624


   答え 624 (kJ/kg)

(2) 冷媒循環量qmr (kg/s)を求めよ。

基本式

 凝縮負荷 Φk が与えられていますので、

  Φk = qmr(h'2 - h3) …(1)
   注)h2 (588)で計算しないこと。大幅減点になるでしょう。

冷媒循環量q<sub>mr</sub>説明図
冷媒循環量qmr説明図

 (1)式からサッサと計算しましょう。

qmr = Φk / (h'2 - h3)

   = 102 / (624 - 265)

   = 102 / 359 = 0.2841225

   ≒ 0.284


   答え 0.284 (kg/s)

(3) 液ガス熱交換器における高温冷媒から低温冷媒への伝熱量Φh (kW)を求めよ。

 p-h線図をみますと、 h5( h6)が分かりませんので、熱収支式を組み立てる必要があります。しかし、熱交換器の動作を理解していれば少々パズル的ですが簡単に求められます。


液ガス熱交換器p-h線図説明図
液ガス熱交換器p-h線図説明図"

液ガス熱交換器概略図
液ガス熱交換器概略図

液ガス熱交換器の基本式

  h3 - h5 = h3 - h6 = h1 - h7

 よって、

  h3 - h5 = h1 - h7

 ここで、低冷媒側の受け入れる伝熱量を Φl(ファイ・エル) とすると、

  Φh = Φl

 Φh と Φl は、qmr と h() で表すと次式が成り立つ。

  Φh = Φl = qmr(h3 - h5) = qmr(h1 - h7)

 ゆえに、

  Φh = qmr(h1 - h7)

 では数値代入しましょ。

Φh = qmr(h1 - h7)

   = 0.284 × (524 - 514)

   = 2.84

おまけ🎁 熱収支式で h5(6) を求める方法

液ガス熱交換器(h5求める方法)概略図
液ガス熱交換器(h5求める方法)概略図

液ガス熱交換器(h5求める方法)p-h線図
液ガス熱交換器(h5求める方法)p-h線図

 「流入するものを左」、「流出するものを右」とすると次の式が成り立つ

  qmrh3 + qmrh7 = qmrh5 + qmrh1

 ゆえに、

  qmr(h3 - h5) = qmr(h1 - h7)

 qmrが消えて、

  h3 - h5 = h1 - h7

 よって、

  h5 = h3 - (h1 - h7)

 数値代入。

  h5 = h3 - (h1 - h7)

    = 265 - (524 - 514)

    = 255

 ゆえに、Φh は、

  Φh = qmr(h3 - h5)

   = 0.284 × (265 - 255)

   = 2.84


   答え 2.84 (kW)

(4) 実際の冷凍能力Φo (kW)を求めよ。

 さて、ここでまたパズルです。(液ガス熱交換器を理解していれば大丈夫でしょう。)(3)の冒頭で記した液ガス熱交換器の基本式の再登場です。


Φ<sub>o</sub> 説明用p-h線図
Φo 説明用p-h線図"

Φ<sub>o</sub> 説明用概略図
Φo 説明用概略図

液ガス熱交換器の基本式

  h3 - h5 = h3 - h6 = h1 - h7 …(1)

 冷凍能力 Φo は、

  Φo = qmr(h7 - h6)

 ここで、(1)式より次式が成り立ちます。p-h線図をジッと見るとよいでしょう。👀

  h7 - h6 = h1 - h3

 よって、Φo は、

  Φo = qmr(h1 - h7)

 これにより、h6 を求めずに Φo を求められます。👍️

 では数値代入しましょ。

  Φo = qmr(h1 - h7)

    = 0.284 × (524 - 265)

    = 0.284 × 259 = 73.556

    ≒ 73.6

 【👁️】h6 を求める方法は(3)の「おまけ 🎁」を参考にしてください。


   答え 73.6 (kW)

(5) 実際の成績係数(COP)R を求めよ。

 (4)で、Φoを求めました。Φkは設問に指定されているので両方を使いましょう。

基本式

   (COP)R = Φo / P

   P = Φk - Φo


 では、一気に。

   (COP)R = Φo / (Φk - Φo)

       = 73.6 / (102 - 73.6)

       = 73.6 / 28.4

       = 2.5915492 ≒ 2.59

別解

 (1)と(2)で、せっかく h'2、qmr を求めたので使いましょう。(出題者の意図はこちらかもしれませんね。😉)

   (COP)R = Φo / P = Φo / qmr(h'2 - h1)

 では、一気に。

   (COP)R = = Φo / qmr(h'2 - h1)

       = 73.6 / 0.284 × (624 - 524)

       = 73.6 / 28.4

       = 2.5915492 ≒ 2.59


   答え 2.59

コメント

 少々パズル的な意地悪な問題でした。液ガス熱交換器の動作を把握してあれば大丈夫でしょう。もちろん、熱収支式を組み立てられれば鬼に金棒です。(講習ビデオ内で重点的に液ガス熱交換器の説明があったかと思います。)

 5問もあるし解答方法も複数あるので油断すると時間がなくなるかもしれません。この対策は過去問を多くこなすことです。

訂正箇所履歴

【2024(R06)/06/18 新設】

  • 全体的に見直し。(2024(R06)/06/29)

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