屋外で凝縮温度50℃で運転されるR410A冷凍装置高圧受液器を設計したい。
過去問をこなしているなら、深呼吸して考えれば「no problem」かと。
第一種冷凍機械責任者試験 平成26年度 問5（11月試験）
問5 下記仕様の鋼板がある。この鋼板を用いて、屋外に設置して凝縮温度50℃で運転されるR410A用高圧受液器を設置したい。この高圧受液器について、次の(1)～(3)の問に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
ただし、R410A冷凍装置の基準凝縮温度50℃における高圧部設計圧力は2.96Mpaを使用するものとする。
（20点）
(1) 設計可能な最大の円筒胴の外径Doは何mmか。
ただし、溶接効率は0.70とし、円筒胴の外径を整数値で求めよ。
(2) (1)で求めた円筒胴に取り付ける鏡板の形状は半球形とし、この鏡板には溶接継手はないものとする。これに板厚9mmの鋼材を使用できるか否かを、必要板厚を計算して判断せよ。
(3) この高圧受液器に使用する板厚9mmの半球形鏡板に内面に設計圧力2.96Mpaが作用した場合、半球面の接線方向に誘起される引張応力σt(N/mm^2)はいくらか。
ただし、引張応力の小数点以下1桁まで求めよ。
(1) 設計可能な最大の円筒胴の外径Doは何mmか。ただし、溶接効率は0.70とし、円筒胴の外径を整数値で求めよ。
- 腐れしろαは屋外設置なので、α＝1とする。
- 許容引張応力σaはSM400Bなので、σa＝100N/mm^2とする。
- 溶接効率は、ηとする。
- 円筒胴板厚は、ta1とする。
- 設計圧力を、Pとする。（P＝2.96Mpa）
次式よりDiを求める。（『上級 冷凍受験テキスト：日本冷凍空調学会』＜9次：P179左 (12.8)式＞＜8次：P172左 (12.8)式＞）
式の変形が面倒だなぁ…。本番では、変形過程は記述しなくても全然良いです。参考に書いておきまする。
じゃ、数値代入しましょう。
小数点以下は切り捨てる
内径Diは、368mmとなる。よって、外径Do＝368＋2×9＝386mm
答え Do ＝ 386 mm
平成23年度(1)をほとんどコピペです。
(2) (1)で求めた円筒胴に取り付ける鏡板の形状は半球形とし、この鏡板には溶接継手はないものとする。これに板厚9mmの鋼材を使用できるか否かを、必要板厚を計算して判断せよ。
半球系鏡板の必要板厚taは、
テキスト＜9次：P179右 (12.11)式＞＜8次：P173左 (12.11)式＞
- 腐れしろ α ＝ 1mm
- 半球形形状に関する係数 W ＝ 1
- 鏡板は溶接ないので η ＝ 1
鏡板の半径Rは、（算数なので説明略）
数値代入します。
答え 必要板厚は4mmであるから、板厚9mmの板材を用いてもよい。
3.8mmでもよいと思います。健闘を祈る。 平成23年度(1)をほとんどコピペです。
(3) この高圧受液器に使用する板厚9mmの半球形鏡板に内面に設計圧力2.96Mpaが作用した場合、半球面の接線方向に誘起される引張応力σt(N/mm^2)はいくらか。ただし、引張応力の小数点以下1桁まで求めよ。
半球面の接線方向に誘起される応力σtは、
（テキスト＜9次：P180左 (12.12)式＞＜8次：P173右 (12.14)式＞）
ここに、
- 設計圧力 P ＝ 2.96 Mpa
- 半径 R ＝ 184 mm
数値代入します。
（小数点以下2桁目を四捨五入）
答え σt ＝ 30.3 (N/mm^2)
訂正箇所履歴
【2016/03/22 新設】
- 数式の画像や解説など全般的に見直し。（2017(H29)/05/10）
- 『上級 冷凍受験テキスト』9次改訂版に対応。（2023(R05)/08/09）