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2種「学識」過去問題の平成13年度問1と平成15年度問2、平成18年度問2の問題文の中に、それぞれ次のような記述があります。
太文字の部分、これはいったい何を言っているのでしょう。この辺を理解しないと大きな落とし穴に落ちてしまいます。 問題を解く前に、機械効率について勉強してみましょう。
例として往復動圧縮機の場合、吸込み弁から過熱蒸気が吸い込まれピストンで圧縮され吐出し弁から吐き出されます。
この過程では機械的にいろんな摩擦抵抗が生じます、これが機械的摩擦損失仕事、すなわち機械的摩擦損失動力であって実際の蒸気の圧縮に必要な圧縮動力に加わります。
式で表すと
P = Pc + Pm [kW]
実際の圧縮機の駆動に必要な軸動力 P [kW]
蒸気の圧縮に必要な動力 Pc [kW]
機械的摩擦損失動力 Pm [kW]
この実際の圧縮機の駆動に必要な軸動力Pは、蒸気の圧縮に必要な動力Pcよりも大きくなります、何となくイメージできますね。
ここで、機械的摩擦損失動力Pmが大きいのか小さいのかで圧縮機の効率に関係してきます。それが、機械効率ηmといわれています。
これまた、式で表すと
機械効率ηmは、1より小さく0.8~0.9なのだそうです。ちなみに、吸込みと吐出しの圧縮比が大きくなると若干小さくなるそうです。
上記の機械効率ηmの式から「蒸気の圧縮に必要な動力Pc」と「機械的摩擦損失動力Pm」の関係を見ると、機械的摩擦損失仕事が大きくなると 機械効率ηmは小さくなって成績係数(COP)Rは小さくなってしまいます。
さて、成績係数のことはとりあえずおいといて・・・・機械的摩擦損失仕事は熱となる、たしかに摩擦が起こると物質は熱くなりまする。
そこで、試験問題ではこの機械的摩擦損失仕事の熱が圧縮機内の冷媒に、加えられるのか、加わえられないのか、で、引っ掛け問題に変身します。
結論から言えば、
冷媒に熱が加えられると吐出しガス比エンタルピー値が大きくなります。
ここで、p-h線図を書いてみましょう。
この図のように実際の吐出しガス比エンタルピー点2´は、理論的な比エンタルピー値点2から点2´(h2´)へと大きくなります。
これは、吸込み弁や吐出し弁の冷媒流の抵抗や作動の遅れ、シリンダーとの熱交換などの損失(断熱効率ηc)や機械的摩擦損失(機械効率ηm) によって、冷媒に熱が加わり吐出し比エンタルピーは大きくなります。
ここで、試験問題では圧縮機の外表面やウオータージャケット(液冷却器)によって、外部に機械的摩擦損失仕事熱が放出され冷媒に熱が加えられない 場合も想定されるようです。(実際はどうなのでしょうねぇ。) 参照:「『SIによる 上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<7次改訂版:P61~>」
さて、本題に入ります。式を覚えちゃってください。
圧縮機の機械的摩擦損失が冷媒に熱となって加えられる場合
.....(7)
圧縮機の機械的摩擦損失が冷媒に熱となって加えられない場合
.....(8)
機械効率ηmが有るか無いかだけですね。
圧縮機の機械的摩擦損失が冷媒に熱となって加えられない場合も、圧縮機駆動の計算には機械効率ηmが関係するので注意が必要です。
実際の圧縮機の軸動力Pは、
圧縮機の機械的摩擦損失が冷媒に熱となって加えられる場合
圧縮機の機械的摩擦損失が冷媒に熱となって加えられない場合
← ηmをはずさないこと。
どっちも同じです!動力計算のときには普通に計算してください。
h2´を使うときは熱量(比エンタルピー)の計算のときです。
このページは説明だけで終わってしまいました。次のページで問題を解いていきましょう。今までのまとめになります。
【2017/10/12 新設】