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運転状態の変化についてP170~P171

 運転状態は、負荷の増減で冷凍サイクルがどのように変化するのか…、いままでの全知識が問われてくる。

 『初級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<8次:P170~P171 (14.2 冷凍装置の運転状態の変化)>を熟読すべし。

冷蔵庫負荷の増加P171

魚を冷凍しているイメージ

 なにわともあれ、テキスト<8次:P171 (14.2.1 冷蔵庫の負荷が増加したとき)>を、熟読しよう。蒸発器と冷媒と冷やすもの(負荷)のイメージをつくり上げること。

 図は、魚を冷凍しているところ、熱が移動し、R22が蒸発している。魚が1匹から10匹になると(冷凍負荷が増加)、どうなるか。そういうイメージ。


 年代順に並べます。

・冷凍負荷が増大すると、蒸発温度が上昇し、膨張弁の冷媒流量は減少する。 H15/14 答え

【×】 膨張弁の冷媒流量は増加する。

 冷凍負荷が増大する、例えば、冷蔵庫にほかほかの肉マンを大量に入れたとすると、蒸発器は肉マンから熱を奪い蒸発温度(圧力)はどんどん上昇していきます。蒸発器出口温度つまり過熱度も高くなるので温度自動膨張弁の弁開度は開く方向に動作し冷媒量を増加させます。

・冷蔵庫に高い温度の品物が入って、蒸発器の負荷が増大すると、温度自動膨張弁の冷媒流量は増大し、蒸発圧力は上昇する。 H18/14 答え

【◯】 その通りなんだ! 冷蔵の負荷が増大したときどうなるのか、、冷凍サイクルが頭の中でイメージできるようにしよう。

・冷蔵庫に高温の品物が入り庫内温度が上昇すると、蒸発器における出入口空気の温度差は増加し、また、凝縮圧力も上昇する。 H19/14 答え

【◯】 その通り! テキスト<8次:P171 (14.2.1 冷蔵庫の冷凍負荷が増加したとき)>を、何度も読んでイメージを増大させよう。

・冷蔵庫の負荷が増加したとき、冷蔵庫の庫内温度と蒸発温度が上昇し、温度自動膨張弁の冷媒流量が増加するが、蒸発器における空気の出入口の温度差は変化しない。 H22/14 答え

【×】 これは、サービス問題かな? 温度差は変化する

・冷蔵庫の負荷が増加すると、冷蔵庫の庫内温度が上昇し、蒸発温度が上昇し、温度自動膨張弁の冷媒流量が増加し、圧縮機の吸込み圧力が上昇する。 H25/14 答え

【◯】 満遍なく各状態を問う良い問題です。(過去問をこなしている方には、ですが…)

・冷蔵庫に高い温度の品物が入ると、庫内温度が上昇するので、冷媒の蒸発温度が上昇し、冷媒循環量が増加して冷凍装置の冷却能力は増加する。 H27/14 答え

【◯】 ま、わかると思いますが「冷蔵庫に高い温度の品物が入る」というのは負荷が増加したということです。この問題文の最後にテキストを引用した文を追加してみます。
 …冷却能力は増加して、冷蔵庫の庫内温度の上昇を抑えるように、運転状態は変化する。 というように運転状態が変化します。冷凍サイクルは素晴らしい。

・温度自動膨張弁を用いた冷凍設備では、冷却負荷が大きく増加すると、膨張弁を流れる冷媒流量は増加するが、蒸発圧力は一定に保たれる。 H28/14 答え

【×】 蒸発圧力(温度)は上昇する。(H18/14の問題文自体を参考にしてください。)

・冷蔵庫に高い温度の品物が大量に入ると、庫内温度が上昇するので、冷媒の蒸発温度が上昇し、冷媒循環量が増加して冷凍装置の冷凍能力は増加する。 H29/14 答え

【◯】 素直な良い問題です。(H27年度と同等の問題です。解説略。)

・冷蔵庫の負荷が大きく増加したとき、冷蔵庫の庫内温度と蒸発温度が上昇し、温度自動膨張弁の冷媒流量が増加するが、蒸発器における空気の出入口の温度差は変化しない。 R02/14 答え

【×】 ぅむ。 温度差は変化する(H22/14(「負荷が大きく増加」、 他同じ))

・冷蔵庫に高い温度の品物が大量に入り、冷凍負荷が増加すると、庫内温度が高くなり、冷媒の蒸発温度が上昇する。また、冷凍負荷の増加に対応して凝縮圧力も上昇する。 R05/14 答え

【◯】 ぅむ。


冷蔵庫負荷の減少P171

 テキスト<8次:P171 (14.2.2 冷蔵庫の負荷が減少したとき)>を、冷凍サイクルを思い浮かべながら熟読しイメージをつかもう。

・冷凍負荷が減少すると、圧縮機の吸込み圧力は低下する。 H15/14 答え

【◯】 冷凍負荷が減少するというのは、例えば冷蔵室に入っているほかほかの肉まんが冷えてきて蒸発器が肉まんから奪う熱が減少してきた状態。奪う熱が減少するので蒸発温度(圧力)は低下する、なので吸込み圧力も低下する。ってことは、圧縮機駆動の動力は小さくて良い。

・冷蔵庫内の品物が冷えて、蒸発器の負荷が減少すると蒸発圧力が低下し、凝縮負荷は大きくなって凝縮圧力は上昇する。 H18/14 答え

【×】  <略>蒸発圧力が低下し、凝縮負荷は小さくなって凝縮圧力は低下する  【プチ解説】

「冷蔵庫内の品物が冷えて、蒸発器の負荷が減少する」← なんとなくイメージできますね。
 「蒸発器の負荷が減少すると蒸発圧力が低下」← これはいいですか?分かります?大きな冷凍庫の中に小さなminiアイスクリームが、一個だけ置いてあってビンビンに冷えている状態をイメージしてみて…、p-h線図を見ながら想像してみよう。
 そうすると、膨張弁が絞られて冷媒循環量は減る、蒸発圧力は低下して圧縮機に吸い込まれる圧力も低下する、高温高圧のガスも減少する、と、凝縮負荷は小さくなって凝縮圧力は低下する。
 って、分かったかな?
 テキスト<8次:P171 (14.2.2 冷蔵庫の負荷が減少したとき)>を読んで、冷凍サイクルをイメージしてみよう。  「このように変化して、新しい運転状態で各機器の能力が負荷とつり合い、平衡する。 ← これイメージするのに大切な一文です。
 (注:7次改訂版(H25(2013)年12月改訂)では、この一文は  <略>運転状態は変化する と、そっけない文章に変えられてしまった。)←(8次改訂版も同様です。)

 冷凍サイクルのイメージが浮かぶようになれば、この試験全体の問題を解くのが楽になってくるはずだ。頑張ろう。

・冷蔵庫の冷凍負荷が減少すると、蒸発温度は低下し、圧縮機の吸込み圧力は低下する。 H20/14 答え

【◯】 素直に丸! テキストをよく読み、よく考えるしかない。

・外気温度が一定の状態で、冷蔵庫内の品物から出る熱量が減少すると、冷凍装置における蒸発器出入口の空気温度差は変化しないが、凝縮圧力は低下する。 R03/14 答え

【×】 正しい文章にしてみましょう。

外気温度が一定の状態で、冷蔵庫内の品物から出る熱量が減少すると、冷凍装置における蒸発器出入口の空気温度差は減少し、凝縮圧力は低下する。

 ま、蒸発器の熱交換が減少している状態だから、出入口の空気温度差は減少しますよね。健闘を祈る!


冷蔵庫蒸発器への着霜P171

 テキスト<8次:P171 (14.2.3 冷蔵庫の蒸発器に着霜したとき)>を、熟読すべし。霜の問題数は多い。でも、近年は出てないなぁ…(平成25年7月16日記す)

・蒸発器の冷却管に着霜すると蒸発圧力が下がるので、デフロストを行う必要がある。 H09/14 答え

【◯】 温度マイナスの蒸発器配管には空気中の水分が霜となって付着する。
 熱伝導抵抗が増加し熱通過率が悪くなり、蒸発圧力が低下し圧縮機の吸込み圧力も低下する。膨張弁の冷媒流量が減少し冷凍能力は減少する。デフロスト(除霜)をしなければならないのです。
-- 【参考】 --
 「デフロスト」については、テキスト<8次:P89 (7.4.1 着霜とその影響)>を参考にすべし。

・冷蔵庫の蒸発器に厚く着霜すると、空気の流れの抵抗が増加するので、風量が減少し、熱通過通過率が大きくなり、庫内温度が低下する。 H22/14 答え

【×】   庫内温度が上昇する。  庫内に霜いっぱい着いていて、アイスクリームが溶けているイメージ。

・蒸発器に霜が厚く付着すると、低圧圧力は上昇する。 H10/14 答え

【×】   低圧圧力は低下する。  H09/14問題解説参照

・冷蔵庫のユニットクーラに霜が厚く付着すると、吸込み圧力が低くなる。 H12/14 答え

【◯】 ユニットクーラ ← 蒸発器のこと。 低圧圧力が低下し、吸込み圧力も低下する。

・温度自動膨張弁を使用した冷蔵庫の蒸発器に厚く霜が付くと、冷媒の蒸発温度は低下する。 H13/14 答え

【◯】 熱通過率が悪くなって、蒸発圧力、蒸発温度が低下する。

-- 【注意】 --
「蒸発温度が低下するのに、アイスクリームがなぜ溶けるのか」と、考えないように。
「蒸発温度」と「庫内温度」とは、違う。

-- 【プチ解説】 --
ぅ~ん、イメージしてください。
<前半略>蒸発器内の冷媒量が減少して圧力が下がっているイメージ。
少ない冷媒は、厚い霜の向こうにあるアイスクリームを一生懸命に冷やそうとしているイメージ。
慈しみ深い冷媒は、瀕死のアイスを守るため、身を挺してドンドン蒸発しているイメージ。
どんどん蒸発して冷媒の蒸発温度は低下していくが、着霜のため庫内温度はあざ笑うかのように上昇し、瀕死のアイスクリームは冷媒の努力虚しく溶けていくイメージ。

・冷蔵庫のユニットクーラーに霜が厚く着くと、圧縮機の吸込み圧力は低くなる。 H15/14 答え

【◯】 霜が付くと熱通過率が悪くなるので、肉まんから熱が奪いにくくなる。つまり、冷凍負荷が減少したのと同じで蒸発温度(圧力)は下がり、圧縮機吸い込み圧力が低下する。

・蒸発器に厚く着霜しても、熱通過率は変わらない。 H17/14 答え

【×】 そんなことないでしょ!?と、なんとなくわかるサービス問題。

・冷蔵庫の蒸発器に厚く着霜すると、霜付きによる熱伝導抵抗が増加し、蒸発器の熱通過率が小さくなる。 H18/14 答え

【◯】 なんとなくわかる問題。 テキストを熟読していれば、サービス問題。

・冷蔵庫の蒸発器に厚く着霜すると、蒸発圧力が低下し、膨張弁の冷媒流量が減少するので、蒸発器の冷却能力は減少する。 H18/14 答え

【◯】 膨張弁→蒸発器、冷凍サイクルをイメージ、イメージ。

・冷蔵庫の蒸発器に厚く着霜すると、空気の流れ抵抗が増加するので風量が減少し、また、蒸発器の熱通過率が小さくなる。 H19/14 R02/14 また、 がない。他同じ。) 答え

【◯】 冷蔵庫の蒸発器に厚く着霜した場合どうなるのか…、この問題は絶対ゲットしよう。

・冷蔵庫の蒸発器に厚く着霜すると空気の流れの抵抗が増加するので、風量が減少し、熱通過率は大きくなるが、冷却能力は低下する。 H25/14 答え

【×】 ぅむ。 熱通過率は小さくなり、冷却能力は低下する。


(蒸発器-その他)

 この問題は、『上級冷凍受験テキスト』(2冷)でよく出題されるのだが、問14で出題されていることだし、その他としてココに置く。(問題が古いので、頭の体操程度で良いかもしれない。)

・冷蔵庫のユニットクーラのファン3台のうち1台が停止したとき、吸込み蒸気の過熱度が大きくなる。 H12/14 答え

【×】 蒸発器の熱交換が悪くなる。イメージ的には冷媒液の蒸発が少なくなるから湿り蒸気が多くなって、過熱度は小さくなる。

・冷蔵庫のユニットクーラのファン3台のうち1台が停止したとき、圧縮機の吸込み蒸気の過熱度が大きくなる。 H14/14 答え

【×】 過熱度は小さくなる。

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 『初級 冷凍受験テキスト』8次改訂版への見直し、済。(22/01/21)

修正・訂正箇所履歴

【2016/06/12 新設】

  • 解説見直し。(2019(R1)/08/03)
  • テキスト8次改訂版(R01(2019)-11月改訂)へ対応、および、文章を見直し。(2020(R02)/07/07)
  • 全体的に見直し。(2022(R04)/01/21)

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【参考文献】

  • 初級 受検テキスト(SIによる初級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 上級 受検テキスト(SIによる上級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 冷凍機械責任者(1・2・3冷)試験問題と解答例(13):日本冷凍空調学会
  • 第3種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院
  • 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院

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