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サイクル特性(P47~P50)

 『初級 冷凍受験テキスト』8次改訂版から、「サイクル特性」という章が新設された。ここには、理論冷凍サイクル特性をまとめた表が掲載され、「理論成績係数」「体積効率」「圧縮機吐き出しガス温度」について記されている。

 ここでは、大部分が by echo の独自問題になっている。


冷媒理論冷凍サイクル特性10℃と-30℃比較
理論冷凍サイクル特性
 (蒸発温度10℃と-30℃の比較)

  • 過冷却度0K、過熱度0K、凝縮温度45℃
  • Wr:冷凍効果(蒸発温度10℃)
  • Wr´:冷凍効果(蒸発温度-30℃)
  • ls(エルエス):理論(断熱)圧縮仕事(蒸発温度10℃)
  • ls´(エルエスダッシュ):理論(断熱)圧縮仕事(蒸発温度-30℃)

 図は、テキスト<8次:P49 表4.4>のサイクル特性比較表をp-h線図で表したものです。これを見ながら表を見ると理解しやすいでしょう。

 理論成績係数(COP)th.Rは、次式で求めます。

  (COP)th.R = Wr / ls (蒸発温度10℃)

  (COP)th.R´ = Wr´ / ls´ (蒸発温度-30℃)

理論成績係数P48

 成績係数は、冷凍の原理で勉強した。ここでは、冷媒目線での勉強になるのだが…、さ、基礎はできるかな?

・理論成績係数は、理論圧縮仕事を冷凍効果で除した値である。 by echo 答え

【×】 逆です。「理論成績係数は、冷凍効果理論圧縮仕事で除した値である。」テキスト<8次:P48 4行目>これは原理で学んだがココにも記されている重要な一文(式)です。

冷媒理論冷凍サイクル特性10℃のp-h線図
  (COP)th.R = Wr / ls ですね。
 ちなみに、
  (COP)th.R = (h1 - h4 ) / (h2 - h1) です。

・理論成績係数は冷媒の種類のよって変わる。目的の蒸発温度が同じであれば、より大きな理論成績係数になる冷媒を選ぶことが望ましい。 by echo 答え

【◯】  ま、当然のことを言っている。テキスト<8次:P48 4~7行目>テキスト流し読みでも大丈夫でしょう。

 ちなみに、テキストの表の理論成績係数は、6.06(R410A)~6.98(R717)である。アンモニアが最強である。

・図において、凝縮温度45℃一定のまま、蒸発温度が10℃から-30℃まで低くなると、理論成績係数は冷媒の種類によらず小さくなる。この成績係数の低下は、より低い低温を得るためにはより多くの動力が必要とされる。 by echo 答え

【◯】 図を見ると、蒸発温度が低いほうが断熱圧縮仕事(動力)「ls(エルエス)」→「ls´」と大きくなる。また、冷凍効果は「Wr」→「Wr´」と若干小さくなり、理論成績係数(COP)th.R = Wr / ls であるから成績係数は小さくなり、多くの動力が必要になります。テキスト<8次:P48 8~12行>


体積能力P48

 テキストの文章中には、特に単位が記されていないが、テキスト<8次:P49 表4.4>に記されている。ヒョッコリ問題文に登場するので表を見て把握しておきたい。

・圧縮機の単位吸込み体積当たりの冷凍能力を体積能力といい、その単位はkJ/m3である。 H20/04 答え

【◯】 そのとおりなんだね、体積能力は1立方メートル(m3)当たりの冷凍能力(kJ)という感じで覚えておけばいい。
 テキスト<8次:P49 (表4.4)>から各冷媒の体積能力の比較を一通りしておきたい。

・R134aはR32に比べて、運転温度条件が同一ならば、冷凍トンあたりのピストン押しのけ量は小さくて良い。 by echo 答え

【×】 テキスト<8次:P49 表4.4>から、体積能力は「R134a:57」「R32:114」である。よって、R134aはR32に比べて体積効率が小さいので、冷凍トンあたりのピストン押しのけ量はR32よりも多く必要である。

 つまり、体積能力の小さな冷媒は、同一の冷凍能力を得るためには、体積能力の大きな冷媒よりも、ピストン押しのけ量の大きな圧縮機が必要となる。テキスト<8次:P48 下5行>

・体積能力は、圧縮機の単位吸込み体積当たりの冷凍能力のことであり、その体積能力は、冷媒の種類によって異なる。往復圧縮機の場合、体積能力の大きな冷媒は、体積能力のより小さな冷媒と比べ、同じ冷凍能力に対して、より大きなピストン押しのけ量を必要とする。 R05/04 答え

【×】 テキスト<8次:P48 下5行>ですね。正しい文章は、

「体積能力は、圧縮機の単位吸込み体積当たりの冷凍能力のことであり、その体積能力は、冷媒の種類によって異なる。往復圧縮機の場合、体積能力の小さな冷媒は、体積能力のより大きな冷媒と比べ、同じ冷凍能力に対して、より大きなピストン押しのけ量を必要とする。」


圧縮機吐き出しガス温度P50

 吐き出しガス温度の出題は過去問は多めである。(ココへは8次改訂版対応のため精選して掲載する。)テキスト<8次:P50>には、4行ほどしか記されていないが、「表4.4」からも出題されるでしょう。

・同一の凝縮と蒸発の温度条件では、アンモニアはR22より吐出しガス温度が低い。H09/04 答え

【×】 <8次:P49 (表4.4)>の蒸発温度10℃では、R22は60℃、R717(アンモニア)は88℃となっている。

・アンモニアは、フルオロカーボンに比べると圧縮機吐出しガス温度は低い。H10/04 答え

【×】   かなり高い <8次:P50 (2~5行 )>にズバリ的。

・R134aの圧縮機吐出しガス温度は、アンモニアに比べてかなり高い。 H11/04 答え

【×】 ぅむ。<8次:P49 (表4.4)>によると、R134aの圧縮機吐出しガス温度(49℃)は、アンモニア(88℃)に比べてかなり低い。(数値は蒸発温度10℃の場合)

・アンモニアは、フルオロカーボンに比べると、圧縮機吐出しガス温度はかなり高くなる。 H12/04 答え

【◯】 はい。

・アンモニアは、フルオロカーボン冷媒に比べると、圧縮機の吐出しガス温度は低い。 H15/04 答え

【×】 今度は? アンとフルの吐出しガス温度と問われたら迷わずアンが高いとおぼえる。

・冷凍サイクルの凝縮温度、過冷却度および過熱度が同じとすると、一般に蒸発温度が低くなれば圧縮機吐き出しガス温度も低くなる。 by echo 答え

【×】 ぃえ、一般に蒸発温度が低くなれば圧縮機吐き出しガス温度は高くなります。テキスト8次<8次:P49 (表4.4)>参照。


高い圧縮機吐き出しガス温度の影響P50

 影響に関しては、P51の化学的安定性に詳しく記されているが、P50にもさりげなく2行ほど記されているので、過去問とby echoを1問づつ置いておきましょう。

・圧縮機の吐出しガス温度が高いと、潤滑油の変質、パッキン材料の損傷などの不具合が生じる。 H15/04 答え

【◯】 はい、その通り。テキスト<8次:P50 5行目>にパッキン材料が記されているが、潤滑油の変質については<8次:P54 6行目>に  変質・劣化 と記されている。

 【8次改訂版の補足】

8次改訂版では「圧縮機吐き出しガス温度」という見出し(節)が無くなってしまい、特性(P50)や安定性(P51)やアンモニア冷媒の特徴(P54)などに散りばめられてしまった。問題文も変わっていくだろう。健闘を祈る!

・圧縮機吐出しガス温度が高過ぎると、冷媒の熱分解、冷凍機油の劣化、パッキン材料の損傷などの不具合の原因となる。 by echo 答え

【◯】 そのとおり!! テキスト<8次:P50 4行目>にズバリ。

 21/12/19 23/11/25

 『初級 冷凍受験テキスト』8次改訂版へ適応。(21(R03)/12/18)

修正・訂正箇所履歴

【2021(R03)/12/19 新設】

【参考文献】

  • 初級 受検テキスト(SIによる初級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 上級 受検テキスト(SIによる上級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 冷凍機械責任者(1・2・3冷)試験問題と解答例(13):日本冷凍空調学会
  • 第3種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院
  • 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院

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