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個体壁を隔てた2流体間の熱交換・熱通過率(P60~P61)

【熱通過率】

 固体壁を隔てた2流体間の熱交換といえば、「熱通過率」がポイントです把握しましょう。

  • 熱通過率は、固体壁を隔てて流体の間を通過する熱の通りやすさを表す
  • 固体壁の熱伝導率と厚さ、固体壁表面と流体との熱伝達率、から導き出すことができる。 『初級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』P60~P61

固体壁を隔てた2流体間の温度分布の図


Φ=KAΔt (kW)

 Δt = Δt1 + Δt2 + Δt3 (K)

『初級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<8次:P60 ((5.5)式)

 K : 熱通過率 (固体壁を隔てて流体の熱が流れるときの通り抜けやすさ

 1/K = 1/α1A + δ/λ + 1/α2  (m2・K/kW)

 3種冷凍では、Kの式は  無理に 覚えなくても良いでしょう。

熱通過率P60

 熱通過率を把握しておかないと、今後の装置等の熱交換の状態や異常に関する問題を解くのにとても困ってくる。(そのような困る問題を、熱通過率絡みの問題として幾つか「おまけ」に記しておきましょう。)

・熱通過率は、固体壁で隔てられた2流体の熱の伝わりやすさを表している。 H14/02 答え

【◯】 ぅむ、その通り! テキスト<8次:P60 ((5.5)式)>「Φ=KAΔt」の下にズバリ的。

・熱通過率は、高温流体から固体壁で隔てられた低温流体へ熱が流れるときの通り抜けやすさを表している。 H17/02 答え

【◯】 ようく問題を読んでね。熱伝導率、熱伝達率、熱通過率の違いを勉強しよう。テキストをじっくり読んで、過去問バリバリやれば自然とわかってくるはずだ。

・熱伝達率と熱通過率の単位は、同じである。 H15/02 答え

【◯】 そうなんです。同じなんです。 kW/(m2・K)
ちなみに、熱伝導率は kW/(m・K) である。
熱伝達率と熱通過率はm2(面積)、伝導率はm(壁の厚さ)

・固体壁で隔てられた流体間で熱が移動するとき、固体壁両面の熱伝達率と固体壁の熱伝導率が与えられれば、水あかの付着などを考慮しない場合の熱通過率の値を計算することができる。 H25/02

・固体壁で隔てられた流体間で熱が移動するとき、固体壁両表面の熱伝達率と固体壁の熱伝導率が与えられれば、水あかの付着を考慮しない場合の熱通過率の値を計算することができる。 R02/02 答え

【両方 ×】 やばい、勉強してないことがバレるかも。

 初級テキスト<8次:P61 ((5.8)式)>「1/K=1/α1+δ/λ+1/α2」の下行を読むべし。  設問では「固体壁の厚さδ(デルタ)」が抜けているので【×】である。(水あかの付着などは考慮しないということなので汚れ係数は考えない。)

・固体壁と流体との熱交換による伝熱量は、固体壁表面と流体との温度差、伝熱面積および比例係数の積で表され、この比例係数を熱通過率という。 H29/02 答え

【×】 「熱通過率」ではなく「熱伝達率」です。(これは「熱伝達率」の説明です。)

 【おまけ的補足】 ← 読みたい方はどうぞ

テキスト<8次:P59 ((5.3)式 )>の「Φ=α(tw-tf)A=αΔtA」 式を覚えなくても良いが、式の意味を問うている、 と同時に、熱伝達率αと熱通過率Kの違いも問うている、さらに同時に、慌て者かどうか(読み違い)問うている。問題文は、よく読もう。


固体壁を隔てた流体間の伝熱量P60

 以下の並び順で、問題の作り方の流れを把握できて、傾向把握の参考になるかも!?

・固体壁を通過する熱量は、その壁で隔てられた両側の流体間の温度差、伝熱面積および壁の熱通過率の値によって決まる。 H11/02 答え

【◯】 テキスト<P60 ((5.5)式)>「Φ=KAΔt」から読み解くと、固体壁を通過する熱量がΦ、熱通過率がK、伝熱面積がA、両側の流体間の温度差がΔt、というわけだね。

・固体壁で隔てられた2流体間を伝わる熱量は、(伝熱面積)×(温度差)×(比熱)で表される。 H14/02 答え

【×】 違います、違います。  比熱 じゃないですね。
 テキスト<8次:P60 ((5.5)式)>「Φ=KAΔt」から、(熱通過率)×(伝熱面積)×(温度差)ですね。

・固体壁を通過する伝熱量は、その壁で隔てられた両側の流体間の温度差、伝熱面積および壁の熱伝導率の値によって決まる。 H21/02 答え

【×】 違います、違います、違います。  熱伝導率 じゃあ~ないですね!
 テキスト<8次:P60 ((5.5)式)>「Φ=KAΔt」から、(熱通過率)×(伝熱面積)×(温度差)ですね!

・冷蔵庫壁を通過する伝熱量は、その壁で隔てられた両側の流体間の温度差、冷蔵庫壁の面積、熱通過率に比例する。 H22/02 答え

【◯】 冷蔵庫でも同じこと、
(伝熱量Φ)=(熱通過率K)×(伝熱面積A)×(温度差Δt)を、記憶しちゃおう。

・固体壁を通過する伝熱量は、その壁で隔てられた両側の流体間の温度差、固体壁の伝熱面積および熱通過率に比例する。 R01/02 答え

【◯】 令和元年の問題は、  冷蔵庫壁 (H22/02)を  固体壁 に変更!という問題でした。もう、楽勝ですね。

・固体壁を隔てた流体間の伝熱量は、伝熱面積と流体間の温度差と熱通過率とを乗じたものである。 H27/02 答え

【◯】 ぅむ。イイネ!(  乗じた という語句がところどころで出現するので慣れておいてネ。)

・固体壁を隔てた流体間の伝熱量は、伝熱面積、固体壁で隔てられた両側の流体間の温度差と熱通過率を乗じたものである。 R03/02 答え

【◯】 H27/02に 固体壁で隔てられた両側を加えて完璧にした問題文。


熱伝達抵抗(P61)

 見当たらない。(どこかに紛れ込んでいるかな?)


おまけ

 時間があればどうぞ。(蒸発器や凝縮器のページでさんざん出てきます。)

・乾式蒸発器では、蒸発器出口の冷媒の過熱度が大きくなると、平均熱通過率は小さくなる。 H09/07(蒸発器の問題) 答え

【◯】 過熱蒸気は気体のみの伝熱になるので熱伝達率が小さくなり、蒸発領域と加熱領域を合わせた蒸発器全体の平均熱通過率は小さくなる。

・水冷凝縮器の冷却管に水あかが厚く付着すると、熱通過率の値が大きくなる。 H14/06(凝縮器の問題) 答え

【×】 水あかは熱伝導率が小さいので、熱伝導抵抗が大きくなり熱通過率は小さくなる。

・空冷凝縮器の通過風速を大きくすると、熱通過率が大きくなり凝縮温度が低くなる。H14/06(凝縮器の問題) 答え

【◯】 通過風速が大きくなると空気側の熱伝達率が大きくなり、熱通過率も大きくなる。(風速を大きくすると凝縮熱を受け取る量が多くなり凝縮温度は低くなる。)

・冷却水の管内流速は、大きいほど熱通過率が大きくなるが、過大な流速による管内腐食も考え、通常1~3m/sが採用されている。 H13/06(凝縮器の問題) 答え

【◯】 流速が大きいと、熱は通り抜けやすくなる。テキスト<8次:P70 (6.2.4冷却水の適正な水速 )>を読んでもらいたい。

 03/03/14 05/03/11 07/03/11 08/04/13 11/06/15 12/05/27 13/05/08 14/06/20 17/11/20 19/11/15 20/05/03 21/12/04

 『SIによる 初級 冷凍受験テキスト』7次改訂版への見直し、済。(14/06/20)
 『初級 冷凍受験テキスト』8次改訂版への見直し、済。(20/05/03)

修正・訂正箇所履歴

【2016/05/09 新設】

  • 全面見直し (2019(R1)/07/14)
  • テキスト8次改訂版(R01(2019)-11月改訂)へ対応、および、文章を見直し。(2020(R02)/05/03)
  • 「1/K=1/α1A+δ/λ+1/α2」→「1/K=1/α1+δ/λ+1/α2」に修正。(2021(R03)/01/14)
  • 問題文の分類、解説文などの見直し。(2021(R03)/12/04)

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【参考文献】

  • 初級 受検テキスト(SIによる初級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 上級 受検テキスト(SIによる上級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 冷凍機械責任者(1・2・3冷)試験問題と解答例(13):日本冷凍空調学会
  • 第3種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院
  • 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院

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