過熱運転 - 1 P203(P195)

ピストンアニメ

 先ず、「過熱度」や「過熱運転」のイメージを作り上げること。過熱運転は、そうだね、圧縮機がチンチンに熱くなっている状態だ。

 その1として、過熱度の原因や影響の全般的な問題。テキスト<9次:P203(P195)左 (15.1.2 過熱運転の原因とその影響)

テキスト9次改訂版について

 『上級 受検テキスト:日本冷凍空調学会』9次改訂版(令和4年11月8日改訂)に対応しています。適当に、8次改訂版のページを( )内に残してあります。

9次改定版の、過熱運転時「断熱効率」の低下について

8次改訂版

 <P195左下2行目~右上>を引用する。

 圧縮機が過熱運転になると圧縮機の体積効率、断熱効率が低下し、これによって冷凍装置の冷凍能力、成績係数が低下する。
9次改訂版

 <P203左 下から10~12行目>を引用する。

 圧縮機が過熱運転になると圧縮機の体積効率が低下し、これによって冷凍装置の冷凍能力、成績係数が低下する。

 「9次改定版」では、「断熱効率」が削除された。理由は不明。

 令和5年度の問題[問題へジャンプ]がテキスト通りの文章で出題(断熱効率がない)されました。今後の問題文に留意してください。

過熱運転の原因 P203(P195)

「過熱運転の原因とその影響」概略図

・圧縮機が過熱運転状態になる原因として、吸込み蒸気の圧力低下、過大な過熱度、吐出しガス圧力上昇などが考えられる。 H16保/01 答え

【◯】 過熱運転の原因は3つある覚えよう! テキスト<9次:P203>
(1)過大な吸込み蒸気過熱度
(2)吐出しガス圧力の上昇
(3)吸込み圧力の低下      この3つ!をおぼえておこう。

・次のイ、ロ、ハ、二の記述のうち、圧縮機の過熱運転の原因となるものについて正しいものはどれか。 H27保/01
イ.往復圧縮機の吸込み弁の弁板が割れた。
ロ.空冷凝縮器のフインがごみで目詰まりした。
ハ.往復圧縮機の油ポンプ回路のフィルタが目詰まりした。
二.冬季に空気温度が下がり、凝縮圧力が大きく低下し、温度自動膨張弁能力が大きく不足した。
 (1)イ、ロ (2)イ、ハ (3)ロ、ハ (4)ロ、二 (5)ハ、二
答え

【4】 ロ、ニ、が正しいです。
イ.テキスト<9次:P206左(a)(P198左(a))>の「吸込み弁の漏れ」を読むべし。吐出しガス温度はあまり上昇しない。
ロ.テキスト<9次:P303右(2)>にズバリ。吐出しガス圧力上昇し過熱運転となる。
ハ.テキスト<9次:P206右(1)(P198右(1))>だね。焼き付きの原因になるが、過熱運転には特に関係ない。
ニ.テキスト<9次:P203右(1)(P195右(1))最後の方>だね。温度自動膨張弁能力が大きく不足して過熱度が増大し過熱運転となる。

・往復圧縮機の過熱運転の原因には、圧縮機の不具合や吐出しガス圧力の上昇などがあり、密閉往復圧縮機では、加えて電源の異常な低電圧などもある。 H28保/01 答え

【◯】 その通りとしか言いようが無い。テキスト<9次:P203左 (15.1.2 加熱運転の原因とその影響)>冒頭部分ズバリ的。


・往復圧縮機の過熱運転の原因には、圧縮機の不具合や吐出しガス圧力の上昇などがあり、密閉往復圧縮機では、加えて電源の異常な高電圧および低電圧もある。 R02保/01 答え

【◯】   異常な低電圧 だけでなく、  異常な高電圧 もあるんだね。テキスト(上と同じ)にもズバリ記されているよ。

・往復圧縮機の運転で、吸込み蒸気圧力の上昇や吐出しガス圧力が低下すると過熱運転になる。 H29保/01 答え

【×】 テキスト<9次:P203左 (15.1.2 過熱運転の原因とその影響)>冒頭部分ズバリ的。
正しい文章は、
  往復圧縮機の運転で、吸込み蒸気圧力の低下や吐出しガス圧力が上昇すると過熱運転になる。

・圧縮機が過熱運転状態になる原因として、吸込み蒸気圧力の低下、過大な吸込み蒸気過熱度、吐出しガス圧力の上昇などがある。圧縮機が過熱運転になると、圧縮機の体積効率、断熱効率、冷凍装置の冷凍能力および成績係数が低下する。 H30保/01 答え

【◯】 はい、その通り。この一文は暗記しても良いかも。 テキストは、<9次:P203左下 (15.1.2 過熱運転の原因とその影響,対応)>に、ズバリ的。


・圧縮機が過熱運転状態になる原因として、吸込み蒸気圧力の低下、過大な吸込み蒸気過熱度、吐出しガス圧力の上昇などがある。圧縮機が過熱運転になると、圧縮機の体積効率、冷凍装置の冷凍能力および成績係数が低下する。 R05保/01 答え

【◯】 上記問題と同等。であるが、「断熱効率」がない。← 9次改訂版からなくなっている。

・圧縮機内における圧縮が断熱変化であり、吐出しガスと吸込み蒸気の絶対圧力の比および断熱指数が一定であると仮定すると、吸込み蒸気絶対温度が10%上昇すれば、計算上、吐出しガス絶対温度は10%上昇する。 R03保/01 答え

【◯】 これは、やばい。過去問にはない新規問題である。各年度に必ずこのような問題がある。

 テキスト<9次:P203左下 (15.1.2 過熱運転の原因とその影響,対応)>に記されている「吐出しガス温度Tdの数式」に関しての、1種冷凍レベル!?の問いである。

吐出しガス温度Tdの関係式
 数式から、吸込み蒸気温度Tsが10%上昇すれば、吐出しガス絶対温度Tdは10%上昇する。ま、小学生レベル?の算数問題であるが、なにせ、この式を覚えてないと困惑スパイラルであろう。

 後述の「(2)吐出しガス圧力の上昇」でも、テキストの文章内でこの式が使われているので、数式の各温度と圧力の関係を把握して(覚えて)おいたほうが良いだろう。健闘を祈る!


過熱運転の影響 P203(P195)

 テキスト<9次:P203~P204 (15.1.2 過熱運転の原因とその影響、対応)>を読むしかない。

・圧縮機が過熱運転になると体積効率、断熱効率が低下し、これによって冷凍装置の冷凍能力、成績係数が低下する。 H14保/01 答え

【◯】 「圧縮機過熱運転→体積効率↓断熱効率↓冷凍能力↓成績係数↓」と理屈抜きで覚えてもいいかも。
(冷凍機油の劣化、密閉圧縮機では電動機の焼損の原因にもなる)テキスト<9次:P203左 下から10行目~>

・圧縮機吸込み蒸気の過熱度が過大になると、圧縮機は過熱運転となり、体積効率と断熱効率はともに低下する。 H17保/01 答え

【◯】 「吸込み蒸気過熱度↑圧縮機過熱運転→体積効率↓断熱効率↓冷凍能力↓成績係数↓」で、丸暗記。

・圧縮機が過熱運転になると、体積効率は低下するが断熱効率は変わらないので冷凍装置の冷凍能力は低下するが、圧縮機駆動の軸動力は変わらない。 H20保/01 答え

【×】 「吸込み蒸気過熱度↑ 圧縮機過熱運転→ 体積効率↓ 断熱効率↓ 冷凍能力↓ 成績係数↓ 」
ぅむ。断熱効率は↓だね。
 断熱効率が低下すると、軸動力が大きくなる。ηc = Pth ÷ Pc(テキスト<9次:P44辺り>を読んでね)
圧縮機過熱運転は、効率は低下するし動力は増加するしろくな事はない。

・圧縮機が過熱運転になると、圧縮機の体積効率、断熱効率が低下し、それによって冷凍装置の冷凍能力、成績係数が低下するが、潤滑油の劣化、冷媒の熱分解は冷媒温度に依存するのであって過熱運転との関係はない。 H24保/01 答え

【×】 テキスト<9次:P203左 下から6行目~>を、読んでもらいたい。冷媒の熱分解は、過熱運転による吐き出しガス温度の上昇により生じることが記されている。H24年度は疲れます。健闘を祈る。
 --- 7~9次改訂版について ---
 7次:「ふっ素系冷媒では冷媒の熱分解の恐れも生じ、」
 8次:9次:「フルオロカーボン冷媒では冷媒の熱分解の恐れも生じ、」
 と、なっている。特に重要なことでもないかもしれないが…

20/11/20 22/02/28 23/12/06

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修正・訂正箇所履歴

【2020(R02)/01/02 新設】(← 履歴をここに作った日

  • ページ分割、及び、文章見直し(2020(R02)/09/08)
  • ページを分割、このページを「過熱運転 その1」とした。(2022(R04)/02/28)
  • 『上級 受検テキスト:日本冷凍空調学会』9次改訂版(令和4年11月8日改訂)に対応(2023(R05)/04/09)
  • 解説等、見直し。(2023(R05)/10/11)

【参考文献・リンク】

  • 初級受検テキスト:日本冷凍空調学会
  • 上級受検テキスト(上級受検テキスト):日本冷凍空調学会
  • 冷凍機械責任者(1・2・3冷)試験問題と解答例:日本冷凍空調学会
  • 第3種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院
  • 第1・2種冷凍機械責任者試験模範解答集 :電気書院

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