1種冷凍学識計算攻略-問3:熱計算は有効内外伝熱面積比と基本式を理解せねば!

EchoLand-plus

チョイとおさらいをしておきましょう。

 二種冷凍機械責任者試験の学識は、最近では計算問題が出題されなくなってしまいました。その分、一種冷凍機械責任者試験の学識問題が以前の二種のレベル に近づいている感じもします。ようするに、わりと簡単になってきたということです。

 ただ、あまく見ると年度によっては、引っ掛けや意外な落とし穴があって、試される?ような問題があるので注意が必要で気を引き締めなければなりません。(2009年記す)

 熱問題の一つのポイントは、有効内外伝熱面積比を頭に入れているかどうかです。あなたがこれを理解しているか採点者は見ています(たぶん)。

 超古いですが平成4年度の問3の問題をしてみましょう。

第一種冷凍機械責任者講習検定試験 平成04年度 問3

問3 R22冷凍装置において、そのシェルアンドチューブ水冷凝縮器の仕様が次のとおりである。

平成04年度 問3 シェルアンドチューブ水冷凝縮器仕様

今、次の運転条件にあるときの凝縮圧力が16kgf/cm^2Gであった。

平成04年度 問3 シェルアンドチューブ水冷凝縮器運転条件

このときの凝縮圧力は正常な圧力か、計算式を示して判定せよ。

ただし、冷却管の熱伝導抵抗は無視するものとし、温度差算術平均値を用い、R22の飽和温度−飽和圧力の関係は下表による。

<下表 略>

 SI単位ではないのでややこしいかもしれませんが・・・・時間があったら挑戦してみてください。

 この問題の詳しい解き方は、省きます。最初に熱通過率Kを求め、算術平均温度差を求め、それから凝縮温度を求め、 そして表から飽和圧力が適当かどうかを判断するということになります。

 この問題の一番のポイントは、算術平均温度差を求めるときに表面積を使いますが、冷却水側伝熱面積 A = 10m^2をそのまま使うと間違いになります。(後述してあります。)


有効内外面積比 m について

 ローフィンチューブは、管の冷媒側にフィンを付けて熱伝達率を大きくしています。ここで、有効内外伝熱面積比 mは、

  • 冷却水側伝熱面積(内側) A
  • 冷媒側伝熱面積(外側)  Ao

 とすると、

有効内外面積比の式

mは1より大きくなります。

 これは、フィンを付けて伝熱面積を拡大した側を基準として伝熱面積や熱通過率を表すことにしているからです。つまり、表面積(伝熱面積)の大きいほうを 分子に持ってきて有効内外伝熱面積比を出しましすから1より大きくなるのです。

◆ 上記の訂正(取消線)について 2009(H21)/06/27

 上記の解説は、下記に引用したところを参考にしました。(赤文字は分かりやすくするため、実際は黒です。)

一般に、フィンを付けて伝熱面積を拡大した側(伝熱管の外表面)を基準として、伝熱面積及び熱通過率の値を表す。 すなわち、ローフィンチューブの場合には、外面がフィンにより拡大されているので、外表面基準の熱通過率Koとして式(5.26)を用いる習慣になっている。

引用元 :  「SIによる上級冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会(平成13年11月30日 第3次改訂)」P67右下2行目〜P68左5行目

 ここで、赤字の部分が「SIによる上級冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会(平成19年11月30日 第6次改訂)」では、削除されています。

一般に、伝熱管の外表面を基準として、伝熱面積及び熱通過率の値を表す。 すなわち、ローフィンチューブの場合には、外面がフィンにより拡大されているので、外表面基準の熱通過率Koとして式(5.26)を用いる習慣になっている。

引用元 :  「SIによる上級冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会(平成19年11月30日 第6次改訂)」P67右下2行目〜P68左5行目

 この修正はどこかに掲載されているかもしれませんが、受験者の方から「伝熱面積の拡大は関係ないのでは」というメールを頂き、 二冊のテキストを見比べてみて分かりました。

 修正の理由は私(echo)が愚考したことですが、下記の方に「インナーフィンチューブ」の説明があります。これの基準面をどうするかで矛盾が生じてしまったからかもしれません。) 「一般に」とか「習慣」とかの語句がありますので曖昧なところがあるような気がしています。(ということは、曖昧な「インナーチューブ」の問題は出題されないかもしれません。

 上記訂正(取消線)の一文は取り消したままにしておきます。(mは1より大きいと覚えておけばいいような気もします…。)

 上記の問題は冷却水側の伝熱面積Aと指定されていますが、Ao = m × A として、外側つまり冷媒側伝熱面積で計算しないとなりません。ですので、この問題の場合 Φk=K・A・Δtm という公式の表面積Aは、10m^2ではなく35m^2(3.5×10)で計算します。

 この辺は、頭に入れておいてください。今よくわからなくても、この先過去問をガンガン解いているうちにわかるようになりますから安心してください。

Back to top ↑

m : 水冷シェルアンドチューブ凝縮器(ローフィンチューブ)

 図は、水冷シェルアンドチューブ凝縮器に用いられているローフィンチューブの概略図です。 管外にローフィンを設けて表面積を大きくしています。

 管外が冷媒、管内が冷却水です。これ重要

水冷シェルアンドチューブ凝縮器(ローフィンチューブ)図


水冷シェルアンドチューブ凝縮器(ローフィンチューブ)有効内外面積比式

m : 空冷凝縮器(フィン)霜なし

 管外にフィンを付けて表面積を大きくしています。水冷シェルアンドチューブ凝縮器のように水垢はたまりません。 フィンに汚れが着くけれど、熱伝導抵抗が小さいので無視するそうです。

空冷凝縮器(フィン)図


空冷凝縮器(フィン)有効内外面積比式

m : 空冷蒸発器(フィン)霜付き

 蒸発器には「霜」が着きます。霜が有るときと無いときの違いを求める問題が出題されたりしています。 (11月試験平成17年度)

空冷蒸発器(フィン)図


空冷蒸発器(フィン)式

  • 霜の厚み δ
  • 霜の熱伝導率 λ

m : 水冷蒸発器(インナーフィンチューブ)

 インナーフォンチューブの問題は出題されていません(2007年8月15日記す)が、書いておきます。

インナーフィンチューブ図


 ローフィンチューブと逆で管外に冷却水、管内に冷媒が流れています。mは表面積の広い内側が基準になります。

有効内外面積比インナーフィンチューブ式


◆ 内(基準) ← 取消線について 2009(H21年)/06/27、追記2015(H27)/03/22、改修2017(H29)/04/07

『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<8次:P98左真ん中辺り>に、 その熱通過率(管外表面積基準) と記されています。内側の方が面積が広いと思いますので、内側面積が分子で基準の外側が分母になれば、mは1より大きくなります。

 下記に引用。

<略>インナーフィンチューブを使用することが多いが、その熱通過率(管外表面積基準)は近似的に次式で表される。 <式 略>
ここに、
 αw:<略>
 m:インナーフィンチューブの有効内外伝熱面積比で、一般にm = 2.2〜3.4
 f:<略>
 αr:<略>
である。

引用元 :  「SIによる上級冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会」(平成13年11月30日 第3次改訂)P85、(平成19年11月30日 第6次改訂)P85、(平成23年12月07日 第7次改訂)P96、(平成27年11月20日 第8次改訂)P98

 ということで、下記のように修正しておきます。

 ローフィンチューブと逆で管外に冷却水、管内に冷媒が流れています。インナーフィンチューブの場合は内側が表面積が広い(であろう)ですが、 外側を基準として考えるようです。

有効内外面積比インナーフィンチューブ式訂正版  一般にm = 2.2〜3.4

インナーフィンチューブ式 1/k

m : 冷蔵庫パネル

 ついでに、冷蔵庫パネルを書いておきます。

冷蔵庫パネル図

パネルの熱通過率

冷蔵庫パネル 1/k式

パネルの単位面積あたりの熱侵入量 φ

  φ = K・Δt = K(ta − tr)

パネルの外表面積の温度 tw

  φ = αa(ta − tw)  変形して

冷蔵庫パネル tw式

熱計算の基本式まとめ

冷凍能力と凝縮負荷を求める


 冷凍能力Φoと凝縮負荷(放熱量)Φkなどを求める式をざっと書いておきます。伝熱量Φ、温度差、面積、などなどは凝縮器、蒸発器、冷却塔のそれぞれのものに置き換えてください。

面積、熱通過率、温度差から求める

面積、熱通過率、温度差からΦを求める式

冷却水量と温度差から求める

冷却水量と温度差からΦを求める式

空冷の場合

空冷の場合のΦを求める式

 この3つの式は覚えてください。ガンガン過去問やると自然にわかると思います。

 伝熱量だけではなく伝熱面積を求めたり、温度差、熱通過率、それから冷却管の長さまで…。ま、いろんな方向から出題されまする。

算術平均温度差Δtmを求める


 算術平均温度差の詳細は省略(参考書を読んでください)ま、式だけは必ず覚えておきましょう。(否応なしに覚えてしまうと思います)

凝縮器の場合

 参考) 『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<8次:P84右側 (または、(算術平均温度差を用いた場合))

算術平均温度差Δtm 凝縮器の場合

蒸発器の場合

 参考) 『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<8次:P101右側上>

算術平均温度差Δtm 蒸発器の場合

さて、前置きはこのぐらいにして次のページからは代表的な過去問をガンガン解いてみましょう。

訂正箇所履歴

【2016/10/22 新設】

  • 計算式がスマホなどで崩れるため、自動で大きさが変化する画像にした。解説文等も見直し。(2017/04/08)
  • テキスト8次改訂版対応。(2017/04/08)
  • 左メニューの「空冷凝縮器(フィン)」を「霜なし」と「霜付き」にし、ジャンプがズレていたので修正。(2017/05/04)

Back to top ↑

^