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令和2年度と同じく液ガス熱交換器付き冷凍装置です。「液ガス熱交換器の熱収支」と「乾き度」を把握しているか試されます。
問2 下図に示す液ガス熱交換器付きのR410A冷凍装置が次の条件で運転されている。次の(1)から(3)の問に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は吐出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。
(20点)
(運転条件)
圧縮機の吸込み蒸気の比エンタルピー h1 = 426 kJ/kg
圧縮機の断熱圧縮後の吐出しガスの比エンタルピー h2 = 470 kJ/kg
受液器出口の液の比エンタルピー h3 = 266 kJ/kg
膨張弁手前の液の比エンタルピー h4 = 240 kJ/kg
蒸発圧力における飽和液の比エンタルピー hB = 200 kJ/kg
蒸発器出口の湿り蒸気の乾き度 x6 = 0.90
圧縮機のピストン押しのけ量 V = 70 m3/h
圧縮機の断熱効率 ηc = 0.85
圧縮機の機械効率 ηm = 0.90
圧縮機の体積効率 ηv = 0.85
圧縮機吸い込み蒸気の密度 ρ1 = 30 kg/m3
(1) 凝縮器の凝縮負荷 Φk (kW) を求めよ。
(2) 蒸発圧力における飽和蒸気の比エンタルピー hD (kJ/kg) を求めよ。
(3) 実際の冷凍装置の成績係数 (COP)R を求めよ。
装置の概略図から、線図を描き与えられた数値を入れられるように、そして運転条件もサラリと書いてみましょう。本番では書かなくとも、頭の中のイメージで計算方法が導き出す事ができれば最高です。
サクっと描き上げられるように何度も練習しましょう。
凝縮負荷 Φk の基本式は、
Φk = qmr(h'2 - h3) …(1)
( h'2 に関しては省略(2冷レベル))
ここで、設問の運転条件より、 qmrが不明です。そこで、この式。
Vηv = qmrv …(2)
ここで、比体積 v と密度 ρ の関係は、
ここまでは、2冷レベルの復習のようなものです。
v = 1/ρ なので、(2)式より、
Vηv = qmrv = qmr1/ρ
よって、
では数値代入しましょ、
※注) ピストン押しのけ量 V は、m3/h 指定ですので、3600で除して m3/s に変換します。
Φk = qmr(h'2 - h3)
= 0.496 × ( 486 - 266) = 108.12 ≒ 108
答え Φk = 108 (kW)
比エンタルピー hD を求めるには、蒸発器出口の冷媒の比エンタルピー h6 を求め、それを使い乾き度基本式から hD を求めます。また、ここで液ガス熱交換器の熱収支から h6 を求められないと、(3)の (COP)R を求められません。
液ガス熱交換器付き冷凍装置 p-h線図
液ガス熱交換器 概略図
液ガス熱交換器出入り口 h4 h3 h6 h1 の、熱収支をまとめます。
左辺に出るもの、右辺に入るものを記述ましょう。
qmr h4 + qmr h1 = qmr h3 + qmr h6
qmr を、消します。
h4 + h1 = h3 + h6
(h4 + h1) - h3 = h6
では、数値代入して、
h6 = (h4 + h1) - h3
= ( 240 + 426) - 266 = 400
h6 が求められないと次に進めませんから、ここで撃沈です。
第2種冷凍機械精選問題集 挿絵より
ここでは、蒸発器出口の湿り蒸気の乾き度 x6 の基本式が必要です。(2冷レベル)
飽和蒸気比エンタルピー hD 説明図
基本式
気長に式を記します。
x6 (hD - hB) = h6 - hB
x6hD - x6hB = h6 - hB
x6hD = h6 - hB + x6hB
hD = (h6 - hB + x6hB) / x6
= (400 - 200 + 0.90 × 200) / 0.90
= 380 / 0.90 = 422.22 ≒ 422
答え hD = 422 (kJ/kg)
(2)が攻略できれば、これはサービス問題でしょう。
(COP)R = Φo / P
Φo = qmr (h6 - h5)
P = qmr (h2 - h1) / ηcηm
答え (COP)R = 2.78
この問題の要点は、
いつもながらですが、計算はくどくどと記しています。本番では、思い切って削除しスマートな記述にしてください。それには、過去問をこなし これでどうだ!採点者殿!
と豪語するような自信を持てるぐらいになりましょう。
ご健闘をお祈りします。
【2022(R04/07/12 新設】