1種冷凍学識計算11月試験攻略-問1:平成24年度

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二元冷凍装置は初めての出題かな…。

 手元の資料を平成4年までさかのぼっても二元冷凍装置の問題は見あたらない。(検定試験は不明)とってもレアな問題。

第一種冷凍機械責任者試験 平成24年度(11月試験)

問1 R404AとR23を冷媒とする二元冷凍装置を下図に示す。この装置を下記の冷凍サイクルの条件で運転するとき、次の(1)および (2)の間に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。
 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失仕事は、熱として冷媒に加わらないものとする。また、配管での熱の出入りおよび圧力損失はないものとする。

(20点)

1種冷凍学識平成24年度問1

1種冷凍学識平成24年度問1運転条件

(1)低温側冷媒循環量qmro (kg/s)および高温側冷媒循環量qmrk (kg/s)を求めよ。

(2)実際の圧縮機の総軸動力P(kW)および実際の冷凍装置の成績係数(COP)Rを求めよ。

  なお、計算式に必要なときは、次の記号を使用するものとする。

1種冷凍学識平成24年度問1「計算式に必要なときは、次の記号を使用するものとする。」

なにはともあれ、線図を描きましょう。


 ηc = 0.70

 ηm = 0.90

 Φo = 50 kW


1種冷凍学識平成24年度問1p-h線図

 『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次(8次):P50 (図4.4 )>の線図を参考に書いてみました。 はじめて書いたので結構時間がかかりました。イマイチ。(汗

(1)低温側冷媒循環量qmro (kg/s)および高温側冷媒循環量qmrk (kg/s)を求めよ。

 はじめての二元なのでなんとなく戸惑いましたが、冷静に考えればどうってことないかも。

 まずは、qmroからです。そうです!基本式はこれ。

  Φo = qmro (h1 - h4)

 ここに、h3 = h4

qmroを求める

 なんとなく楽勝。さて、qmrkをどうやって求めるか…です。

 『上級 冷凍受験テキスト』<9次:P51 (4.16)式>(<8次:P50 (4.14)式>)の熱収支の式を使うしかないでしょう。では、この公式を導いてみましょう。

二元サイクルヒートバランス

 「低圧側凝縮器」と「高圧側蒸発器」部分を抜き出してヒートバランスの式を組み立ててみましょう。

 「出るものを左辺」「入るものを右辺」にまとめます。

 qmrk・h5 + qmro・h3 = qmrk・h8 + qmro・h2

 まとめて、

 qmrk(h5 - h8) = qmro(h2 - h3)

 そういうことで、テキストと同じ式が出来上がりました。記憶しなくてもこうしてヒートバランスの式を組み立てられれば鬼に金棒です。

さて、ここで「実際の」吐き出しガス比エンタルピーh2´を用いることに注意してください。

 qmrk(h5 - h8) = qmro(h2´ - h3)  です。

 h2´を求めましょう。

h2´を求める

 「機械的摩擦損失仕事は、熱として冷媒に加わらないものとする。」とあるので、ηmは入れずηcのみです。

 じゃ、値を入れます。

h2´を求める式に数値代入

 では、qmrkを求めましよう。

qmrk求める

  答え 低温側冷媒循環量qmro = 0.329 (kg/s) 高温側冷媒循環量qmrk = 0.528 (kg/s)

実際の圧縮機の総軸動力P(kW)および実際の冷凍装置の成績係数(COP)Rを求めよ。

 総軸動力Pは、二段膨張サイクルと同様に低段動力Poと高段動力Pkの和です。

PoとPk求める式 P = Po + Pk

 じゃ、数値を代入して一気に。

Po求める式に数値代入 Pk求める式に数値代入

 では一気にPと(COP)Pを求めましよう。

P求める式に数値代入 (COP)R求める式に数値代入

  答え P = 36.5(kW) (COP)R = 1.37

 そんなわけで、 とっても長い解答になってしまいましたが、本番ではこんなに書ききれません。採点者の気持ちになって要点が通じるような、ざっくりカットした計算式を組み立ててください。

 二元冷凍装置は、二段圧縮二段膨張装置より簡単かもしれません。


 ご健闘をお祈りしています。

訂正箇所履歴

【2016/02/11 新設】

  • スマホなどで崩れる計算式などを、自動で大きさが変化する画像にした。(2017/04/23)
  • 『上級 冷凍受験テキスト』を<8次:>のみにした。(2017/04/23)
  • 『上級 冷凍受験テキスト』9次改訂版に対応。(2023(R05)/06/01)
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