1種冷凍学識計算11月試験攻略-問1:平成17年度

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コンパウンド圧縮機を用いた二段圧縮一段膨張冷凍装置

 気筒数比が絡んでいます。ま、数学的には 簡単な比の計算なんですけど…。(1種冷凍学識計算攻略の解説に使用しています。

第一種冷凍機械責任者試験 平成17年度(11月試験)

問1 下記仕様のR-22コンパウンド圧縮機を使用した二段圧縮一段膨張冷凍装置を、下記の理論冷凍サイクル条件で運転して120KWの冷凍能力を得たい。    これについて、次の(1)および(2)の間に、解答用紙の所定欄に計算式を示して答えよ。

 ただし、圧縮機の機械的摩擦損失は吐出しガスに熱として加わるものとする。また、配管での熱の出入りはないものとする。 (20点)

1種冷凍学識平成17年度問1理論冷凍サイクルの条件

 (1)蒸発器の冷媒循環量qmL(kg/s)を求めよ。

 (2)凝縮負荷Φk(kW)を求めよ。

なにはともあれ、概略図と線図を描きましょう。

第一種冷凍機械責任者学識試験 平成17年度 問1 線図 第一種冷凍機械責任者学識試験 平成17年度 問1 概略図

 h8が不明です、ここがこの問題のポイントでしょう。

(1)蒸発器の冷媒循環量qmL(kg/s)を求めよ。

 蒸発器の冷媒循環量qmLを求める場合は、冷凍能力Φoが120(kW)と指定されていますからこの公式で求められそうです。

 Φo = qmL(h1 - h8)  …(1)

 ところがp-h線図中の、h8の数値が?なのです。

 この辺がこの問題のカギといいましょうか、コンパウンド圧縮機の気筒数比を使って答えを導き出すことができるか試される問題です。

 気筒数比 a というのは、低段側と高段側のピストン押しのけ量の比です。この辺は『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』<9次(8次):P48右 4.2.3 コンパウンド圧縮機による二段圧縮冷凍装置>を勉強してください。


気筒数比と冷媒循環量

 ピストン押しのけ量の計算式は、二種冷凍学識計算攻略のこのページ(別窓で開きます)で勉強しました。

 この問題の低段側のピストン押しのけ量をVL、高段をVHとすると、

ピストン押しのけ量VLとVHの式

ぇ~と、気筒数比 a は、ピストン押しのけ量VLとVHの比ですから、

気筒数比aとVL、VHの式 (ηvは同じだから消えます)

 ということは、

気筒数比aとVL、VHの式、数値代入 …(2)


冷媒循環量qmLとqmHの関係はもう一つ

 さて、qmLとqmHの関係がもう一つあります。そうです、中間冷却器の熱収支です。さっそく、中間冷却器の図を書いてみましょう。もう簡単ですよね!?

中間冷却器部分

 左辺に入るもの、右辺に出るものを書きます。

  qmH・h5 + qmL・h2´qmH・h3 + qmL・h7

 まとめます

  qmL(h2´- h7) = qmH(h3 - h5)

 ここで、h2´を使っている事に注意してください。

  よって、

中間冷却器熱収支と冷媒循環量の式 …(3)

 h2の実際の比エンタルピーh2´を求めましょう。

h2‘の式

 (2)と(3)式から

qmLとqmhの比数値代入式 …(4)

 というわけで、熱収支からもqmLとqmHの比が導き出せました。ピストン押しのけ量と気筒数比から求めた比と同じ値、0.6818になりました。

 ぅむ、h7が求めらますね。指定されている各比エンタルピー数値を入れます。

h7を求める式

 途中の計算は省いて、 h7 = 216.96 (kJ/kg)


さぁ、待ちに待った!?(1)式を使いましょう。

 ここに、 h7 = h8 …(5)

Φoを求める(1)式 …(1)

 指定された数値を代入します。

Φoを求める(1)式数値代入

 冷媒循環量は、下3桁(0.656)でよいですが、この場合は3桁以降が微妙な数字なので「0.6556」として下四桁にしておいたほうが良いです。次の凝縮負荷の答が微妙に変わってしまうからです。 (その違いはここでは書きません、ぇ、面倒ですから…)m(__)m

   答え qmL = 0.6556(kg/s)

(2)凝縮負荷Φk(kW)を求めよ。

 h4の実際の比エンタルピーh4´を求めます。

h4‘の式

qmHを下記の(4)式と、(1)の問題の答え(qmL=0.6556)から求めます。

qmL / qmhの(4)式 … (4)

qmL / qmhの(4)式へ数値代入

Φkは、

Φkを求める


  答え Φk = 200.3(kW)

訂正箇所履歴

【2016/02/11 新設】

  • スマホなどで崩れる計算式などを、自動で大きさが変化する画像にした。(2017/04/19)
  • 『上級 冷凍受験テキスト:日本冷凍空調学会』8次改訂版へ対応(2017/04/19)
  • 『上級 冷凍受験テキスト』9次改訂版に対応。(2023(R05)/06/01)

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